失注リード、放置していませんか?──2年以内に8割が類似サービスを導入する現実

失注したら終わり? いえ、まだチャンスがあります

BtoB商材において「一度失注したらもう縁がなかった」として放置していませんか。実は、ある調査によると失注した顧客の8割が2年以内に同じ、または類似のサービスを導入している(※)のです。タイミングや社内の状況が変わっただけで、「やはりあのサービスが必要だ」となるのは珍しくありません。もし、ここでまったくアプローチをしないままだと、別の競合に再提案の機会をさらわれる可能性が高いというわけです。

※引用:日経XTech(https://xtech.nikkei.com/it/atcl/column/14/470532/031600021/)

なぜ2年以内に8割が“類似サービス”を導入するのか

BtoB商材は、検討から導入までの期間が長い反面、「いずれ必要になる」と決まっているケースも多いのが特徴です。たとえば、

  • 社内予算が確保される時期がずれただけ
  • 稟議のタイミングと導入準備が合わなかった
  • 担当者が異動や転職で別部署に行き、そこで再度導入を検討した
  • 競合サービスで一旦導入したが、合わずに再リプレイスを模索している
    こうした事例はBtoBの現場でよく耳にします。「今は難しい」と断られても、1〜2年後にはまったく違う社内環境になっていることが多いわけです。

ポイントは”第一想起”に入れるか

失注時には「価格が高い」「導入メリットが不透明」など、何らかの懸念があって断られています。しかし、社内承認のネックが予算ではなく稟議フローだったり、担当者個人の裁量が少なかったりと、顧客内部に事情がある場合が大半です。半年~1年後に体制が変わって裁量が増えれば「そういえば、あのとき見送ったサービスを再検討してみよう」となるのは自然な流れと言えます。

ここで鍵になるのが”第一想起に入れるか”です。新たに検討を再開した際、「どこのサービスに相談しようか?」と顧客が考えたときに真っ先に思い出される位置にいるかどうか。ナーチャリングや定期フォローで繋がっていれば、「この会社なら話を聞いてみたい」と思わせやすくなります。逆に連絡も何もしていなければ、「もう付き合いもないし…」と他社に問い合わせてしまうかもしれません。結局、一度断られたのは“縁がなかった”のではなく、“その時点のタイミングが合わなかった”可能性が高いということを再認識するのが重要です。

失注顧客をフォローすべき具体的手段

  1. 定期的なメール配信・ニュースレター
    実績紹介、機能アップデート、イベントやウェビナー情報などを月1~2回送るだけでも顧客との接触面を維持できます。メールにはパーソナライズを入れると効果が上がることも。
  2. 電話やSNSでのライトなコンタクト
    「その後、御社内でXXの課題は進展ありましたか?」程度の軽い確認電話や、SNS上でのコメントのやり取りだけでも印象は大きく変わります。
  3. セミナーやウェビナーへの招待
    新しい機能の紹介、成功事例の共有などをテーマにオンラインセミナーを開催し、失注顧客にも招待メールを送ってみましょう。「面白そうだから聴いてみるか」と思ってもらえれば復活のチャンスが大きくなります。

低コストで始めるナーチャリング運用

BtoBのマーケティングやナーチャリングを自動化するとなると、大抵の企業は「MAツール導入かな?」「Salesforceを入れりょう」と考えます。しかし、HubSpotであれば安価なプランから始められ、ステップアップもしやすいのが魅力です。

  • フォーム作成が簡単
    公式サイトにHubSpotのフォームを埋め込んだりhubspot上で作成した日程調整ツールを使うだけで、取得したリード情報が自動でhubspotに連携取得され、入力工数を削減できる。
  • メール配信と顧客行動のトラッキング
    誰がどのメールを開封し、どのリンクをクリックしたかが可視化されるため、フォローコールなどを効果的に行える。
  • シナリオ設計(ワークフロー)
    将来的には、特定条件を満たしたリードに自動でメールを送るシナリオを構築も可能。まずは手作業送付でもいいのでシンプルな運用からスタートし、徐々に高度なMAに挑戦すればよい。

Salesforceは確かに高機能ですが、使いこなすにはそれなりのリテラシーと投資が必要です。HubSpotなら最初の一歩から運用を始めやすく、チームが慣れてきたら拡張できるというスモールスタートが可能です。

追加:ナーチャリング成功事例(ケーススタディ)

たとえば、とあるITベンダーのA社では、昨年クラウドサービス導入を提案したB社に失注しました。理由は「社内の稟議を通すための材料が不足」「当時の担当者が予算確保に失敗」で、同時に他社と比較して導入メリットが明確化しきれなかったのも要因でした。そこでA社は、B社担当者への月イチのメール配信と四半期に一度のウェビナー招待を欠かさず実施。さらに、HubSpotでB社の開封率やクリック状況をチェックし、「最近また資料を開いている」とわかったタイミングでフォローコールを行いました。

結果、失注から10ヶ月後にB社の稟議が再度通り、「やっぱりA社のサービスがいいのでは?」と改めて商談がスタート。前回の失注理由として挙がっていた導入メリットを丁寧にまとめ直し、見積もりも微調整したところ、今度はスムーズに合意に至り契約が成立しました。もしA社が失注後のフォローを一切行わず、連絡も取らなかったら、そのタイミングで別企業が声をかけてB社を獲得していたかもしれません。失注時の顧客を“まだ温度が残っている”と捉え、タイミングを逃さずフォローしたA社のやり方は、ナーチャリングの好例と言えます。

まとめ

BtoB商材では、「一度失注したら縁がなかった」という発想は非常にもったいないとわかります。2年以内に8割が類似サービスを導入するという調査データが示すように、タイミングや社内情勢が変われば導入が再検討される可能性は十分にあるのです。ここで先に動いていれば、「やっぱり相談すべきはあの会社だよね」と思い出してもらえるチャンスを得られます。

  • まずは小さなメール配信や電話フォローから
  • まずはHubSpotなど低コストのツールを活用
  • 失注理由を丁寧に分析して、改善策を用意した再提案につなげる

こうした地道な努力こそが、数ヶ月~数年後に大きなリターンをもたらすはずです。失注リードをただ放置するのではなく、顧客との関係性を少しずつ育む“ナーチャリング”に力を注ぎましょう。あなたのビジネスの新しい成長エンジンとなる可能性は、思いのほか高いかもしれません。

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