3分で分かるLinkedIn概要

はじめに

ビジネスに特化したSNSとして世界的に広く利用されているLinkedIn(リンクトイン)は、日本国内でも急速にユーザー数を増やしています。現時点で約400万人が登録しているとされ、特に大手企業の採用部門やスタートアップの経営陣が活発に使っていることが注目を集める理由の一つです。
海外では「名刺代わり」と言われるほど一般化しており、Facebookよりも利用者が多い国や地域もめずらしくありません。実際、富士通が全社で導入を進めたり、KIRINが採用ツールとして活用を始めたりと、国内の超大手企業も続々と利用を拡大しています。筆者が運用しているアカウントには、かつてOracleから営業DMが届いたこともあり、“会えないと思われていた層”とも意外と直接繋がれる可能性を秘めているのがLinkedInの特徴です。

1.LinkedInとは何か

LinkedInは2003年に米国で生まれたSNSで、ビジネスユースを前提とした実名制・職務経歴重視のプラットフォームです。国内ではまだXやFacebookほどメジャーではないものの、ユーザー数は急増中で、2024年時点で約400万人に達しました。なぜここまで注目を浴びているのかと言えば、以下のような要素が関係しています。

  • 実名かつビジネス専用のため、企業や役職者を検索・リサーチしやすい
  • 採用・営業・情報発信など、多用途に活用できる機能が充実
  • 海外では当たり前の文化となっており、日本でも外資系企業やIT大手を中心に普及が進んでいる

また、匿名中心のSNSとは一線を画し、「自分の職歴や成果を公開し、人脈を広げる」という使い方が標準です。企業の採用担当や営業部門がプロアクティブに相手を探し、DMを送ることが頻繁に行われており、部長や役員クラスとも直接コミュニケーションを取れる可能性があります。

2.主な特徴

(1) ビジネスの“名刺代わり”としての活用

海外ではFacebook以上に利用者が多いとも言われるLinkedInは、仕事の経歴をオープンにする文化が根付いているため、採用活動や営業活動での自己アピールに最適です。プロフィール欄を丁寧に作り込むことで、相手に信頼感を持ってもらいやすくなります。

(2) 実名でのやり取りが基本

日本のSNSでは匿名アカウントがまだまだ主流ですが、LinkedInの場合は実名で、会社名や役職などを明確にしながら利用するのが一般的です。そのため「誰に連絡を取っているのか」「どんな実績があるのか」が一目で分かり、人脈拡大や商談のアレンジがしやすいと評価されてきました。

(3) 海外企業・大手企業の利用が加速

富士通が全社導入を進めたり、KIRINが採用領域で活用を始めたりと、名だたる大企業が続々と使い始めています。海外勢では、例えばOracleが日本のユーザーに営業DMを送るなど、ボーダーレスにアプローチが可能です。国内外を問わず“ビジネスSNS”を活用する流れが広がっているのです。

3.基本機能と有料版

3-1. 1次・2次・3次のつながり

LinkedInでは、相互承認済みのユーザー同士を「1次のつながり」と呼び、相手のつながりを「2次」、さらにその先を「3次」と定義しています。アカウントを閲覧できるのは3次までで、それ以降は表示されません。この仕組みによって、会ったことのない企業や担当者でも“知り合いの知り合い”として繋がりを見つけやすくなっています。

3-2. 申請とメッセージ

LinkedInでは週に200件の“つながり申請”(フォロー・友達申請に近い概念)が可能とされ、承認されれば1次のつながりとしてメッセージのやり取りができます。承認前だと原則として相手に直接メッセージを送れませんが、有料機能のInMailを使えば繋がりのない相手にも直接メッセージを送ることが可能です。
InMailには月間の送信件数に上限があり、戦略的に使わないと「気軽に大量送信」が難しい反面、“興味のある決裁者層”にピンポイントでアプローチできるメリットがあります。

3-3. LinkedIn広告

マーケティング目的で、さらに拡散を狙いたい場合はLinkedIn広告も選択肢に入ります。職歴や役職、業種などビジネス関連の属性で細かくターゲティングできる点が特徴です。コストは他のSNS広告より高めと言われますが、大手企業や特定の役職へリーチしたい場合は、非常に有効な打ち手となるでしょう。

3-4. LinkedIn Recruiter

採用目的で活用するLinkedIn Recruiterというダイレクトリクルーティング機能もあります。候補者の検索、連絡、管理を行うことができ、理想的な候補者と直接つながることができます。

3-5. LinkedIn Sales Navigator

営業目的で活用する、LinkedIn Sales Navigatorという機能もあります。月9,000円ほどで詳細なフィルタリングを用いたターゲット検索、見込み客リストの管理、共通の知り合いを可視化するといった便利機能が多数搭載されており、営業活動に大きなアドバンテージをもたらします。

現時点(2025/1)ではUIが英語で若干使いにくい点や、機能を使いこなすための学習コストが一定必要といったデメリットはあるものの、BtoB営業においては現状最も強力なSNS連携ツールの一つと言えます。

4.活用のステップ

ステップ1:プロフィールの整備

まずは「どんな肩書や実績を持つ人物なのか」を分かりやすく書き込みます。名前や顔写真はもちろん、過去のプロジェクトや受賞歴、スキルなども盛り込むと、相手が安心してコンタクトを返してくれる確率が上がります。
“自社やサービスの魅力”をアピールしたいなら、ヘッダー画像などで視覚的に訴求するのも効果的です。

ステップ2:ネットワーク拡大

週200件ほど送れるつながり申請を活用し、同業界や狙いたい企業の担当者にアプローチします。相手が承認してくれれば1次のつながりになり、無料でメッセージを送れるようになります。
知り合いの知り合いは2次、さらにその先が3次のつながりとなり、最大3次まで閲覧が可能です(それ以上先は見えません)。もし相手が2次・3次のつながりで、どうしてもメッセージを送りたい場合はInMailを利用するとよいでしょう。

ステップ3:投稿・記事で専門性を発信

プロフィールが整い、ある程度のつながりが増えてきたら、業界ニュースへのコメントや自社事例、専門的な知見を投稿することで「この人はこういう分野に強いんだ」と印象づけられます。日本では投稿数が少なめなこともあり、質の高い情報を発信すれば目立ちやすく、問い合わせやDMを受け取るきっかけにもなります。

ステップ4:Sales NavigatorやInMailでの直接アプローチ

ターゲット企業の決裁者や部長クラスに一気にリーチしたいなら、有料機能のSales NavigatorやInMailが強力です。まだつながりがない2次・3次のアカウントにも直接メッセージを送れるため、“特定の人物”を狙い撃ちするのに最適です。
さらに広告を使えば、特定の業種・役職・企業規模などに限って表示させることが可能で、現時点でつながりがない層にも認知を広げられます。

5.なぜ企業が導入を進めるのか

日本国内での知名度はまだ十分とは言えませんが、すでに富士通が全社導入し、KIRINが採用領域で利用するなど、多くの大企業が積極的に活用を始めています。ユーザー数が400万人を突破し、今後さらに加速が見込まれる背景には、以下の理由があるようです。

  1. 海外では名刺がわりに使われるほどメジャー
    外資系企業や海外との取引が多い企業ほど、実務上LinkedInが不可欠になっている。
  2. 大手企業へのダイレクトな営業チャネル
    上場企業の部長や役員が個人でアカウントを持ち、活発に投稿している事例が増えており、そこにアクセスできる価値は大きい。
  3. 新卒・中途採用での有力な候補者探し
    “専門性が高い人材”はプライベートなSNSよりLinkedInを主戦場としているケースも多い。企業側はここでリサーチやスカウトをしやすい。

まとめ

LinkedInは、プライベート寄りの他SNSとは一線を画す**“ビジネスに特化した実名SNS”**として、世界で当たり前に使われています。Facebookを超えるユーザー数を誇る国や地域もあるほどで、名刺代わりとして利用する文化が定着しているのです。日本でも約400万人が登録していると推定され、富士通やKIRINといった大手が導入を進めるなど、今後さらに拡大が予想されます。

  • 1次・2次・3次のつながりという概念をベースに、自分と繋がりのない相手にも有料機能(InMail)でメッセージを送付可能
  • 週200件ほど申請を送れるため、意外と短期間でネットワークを増やすことも可能
  • SNS投稿やLinkedIn広告の利用で、ターゲット企業や特定の役職に対して効果的に認知を広げられる

特に部長クラスやCXOレベルへの営業・採用・ネットワーキングを目指す企業にとって、LinkedInは大きなチャンスを秘めたプラットフォームです。海外では当たり前の活用術を日本でも取り入れることで、“会えないはずの相手”と直接やり取りできる可能性が、以前よりはるかに高まっています。まだ利用者はXやFacebookに比べ少ないですが、だからこそ今から取り組めば先行者メリットを得られるでしょう。ぜひこのタイミングでプロフィールを整備し、ターゲットにあわせた接点づくりを始めてみてはいかがでしょうか。

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