1. 昔と比較して、営業の出番が減っている
かつては、企業が新しいサービスや製品を導入する際に営業担当者を呼んで直接話を聞くところから検討が始まるのが当たり前でした。しかし現在は、顧客側がWebやSNSで情報を先に収集し、ある程度検討を進めた上で問い合わせをするかどうかを決めています。むしろネット上で検討を進められ、知らない間に「足切り」される可能性すらあります。
「他社と何が違うのか分からない」「導入後のサポートが不透明」「料金体系が見えない」などの理由で候補から外されているとしたら、営業が連絡を取る前にすでに選択肢から消されてしまうわけです。一度比較リストから外れた会社を、再びリストに戻すのは至難の業と言えます。
2. そんな今だからこそ、Web/SNSの情報を強化すべき
**WebやSNSが顧客との“初めての接点”**になりやすいからこそ、ここにしっかり情報を載せておくことが重要です。十分な情報があれば、見込み客はお問い合わせ前の“検討”をスムーズに進め、自社の強みを理解してくれます。
Web/SNSを強化するメリット3つ
- 検討を加速し、ホットな状態で商談できる
料金や事例、他社との違いなどを先に提示しておくことで、見込み客はある程度納得した状態で来ます。結果、商談での理解度や温度感が高まりやすいでしょう。 - “知らないうちに脱落”を防ぐ
他社と比較して情報が少ない、違いが分からない、サポート体制がよく見えない――そうした理由で足切りされるリスクを減らせます。見込み客が「ちょっと良さそうだから詳しく聞いてみようかな」と思うハードルを下げられるわけです。 - ファン化が進み、第一想起を獲得できる
有益な情報を発信し続ければ、「この会社は信頼できそう」「次の導入はここに相談してみるか」といったファン化が進み、**将来的に“まず相談したい会社”**になりやすいです。
情報をオープンにする際のマインドセット
「ノウハウを出したらパクられるのでは?」という懸念があるかもしれませんが、パクるほどのやる気がある企業は実は少数ですし、やる人はいつか必ずやります。情報はすでに溢れているので、“出したもの勝ち” だと思って割り切りましょう。むしろ、出し惜しみするより“これでもか”とコンテンツ発信するほうが、一見リスクがあるように見えて、莫大なリターンを得やすいという意識が大事です。
キラーコンテンツは必ず載せよう
- 事例/実績
BtoBでは「誰が導入しているか」が信用度を大きく左右します。特に大手企業の事例は導入検討を進めるうえで強力な後押しになります。 - 料金表
価格の不透明感は見込み客を遠ざけます。最初から大まかなレンジでもいいので明示しておくと「予算感が合うかもしれない」と思ってくれる人が増え、商談時のハードルも下がります。 - 他社比較表
自社と競合の違いをわかりやすく示すことで、見込み客の検討工数を減らしつつ、自社の強みをダイレクトに伝えられます。CV(コンバージョン)のきっかけや後押しにもなるわけです。
「事例・料金表・他社比較」以外にも、以下のようなコンテンツをWebやSNSで発信すると、さらなる信頼度向上や見込み客の検討を後押しできます。
- 導入ステップや導入後サポートの詳細
「契約から導入まで何日くらいかかるのか」「サポートはチャットで対応できるのか」などを明記しておくと、不安を解消しやすいです。 - 専門用語を噛み砕いたガイド
BtoB領域では業界用語が多く、「初心者にはちょっと敷居が高い」と思われる可能性があります。用語集やわかりやすい解説ページを載せれば、「ここは丁寧だ」と好印象を与えられます。 - SNSでの定期発信
XやYoutube、LinkedIn、Facebookなどを活用して有益情報や自社情報を発信していきましょう。有益情報を発信することで、専門性のアピールやファン化を実現でき、リード獲得やお問い合わせ、信頼性向上に発展します。またSNS経由のお問い合わせは既に自社理解が高い/自社のファンだったりするため、コンペや相見積もりになりにくく、単価が向上しやすいというデータもあります。
3. Webページでよくある落とし穴と改善策
Webサイトの「体裁」は一見問題ないように見えても、足切りを生む落とし穴が潜んでいるかもしれません。たとえば、
- 更新が止まっているコンテンツや“お知らせ”
「2021年から更新が止まったまま」のニュースリリース欄を見た顧客は、「活動しているのかどうか不安」と感じてしまいます。 - お問い合わせフォームが煩雑
名前・会社名・メールアドレスなど最低限以外にも「生年月日」「部署の階層」など不要な項目が多いフォームは離脱率を高めます。EFO(Entry Form Optimization)という概念がありますが、フォームを最適化することでCVRをグッと高められる可能性もあります。 - SSL化していない(https化されていない)
セキュリティ警告が出るサイトに個人情報を入力したいと思う人はほとんどいません。
これらを解決するだけでも信頼度は大きく向上し、「なんとなく怪しいから他社にしよう」という離脱をかなり防げるでしょう。
4. まとめ
顧客がWebやSNSで比較検討を進める現代において、営業担当が接触する前の段階で勝負が決しているケースが増えています。だからこそ「どれだけ情報を整理して見せられているか」が成功への大きな分かれ目となるのです。
- 事例・料金表・他社比較というキラーコンテンツをはじめ、導入ステップ、サポート体制、専門用語ガイドなど、見込み客が“欲しい情報”を惜しみなく提供する
- SNS運用も含め、継続的な発信で「ここなら安心できる」と思わせる仕掛けを作る
- サイト更新の滞りや複雑なフォームなど、“足切り”を招く落とし穴を改善する
こうした取り組みを行うだけで、**“情報不足による脱落”**は激減し、問い合わせや商談の質も格段に上がります。さらに、出し惜しみしない姿勢によってファン化が進み、いずれは「まず相談すべき会社」という第一想起のポジションを得やすくなるでしょう。いま一度、あなたの自社サイトやSNSを見直して、コンテンツの充実度をチェックしてみませんか? 一見地味な積み重ねこそが、大きなビジネスチャンスを呼び込む鍵となるはずです。