はじめに
BtoB営業においてインサイドセールスを担うSDR(Sales Development Representative)は、見込み顧客(リード)を商談化するための重要な役割を担います。しかし、実際の現場では「そこまで徹底していない」「兼業でやっていて厳しい」といった状況も少なくありません。
本記事では、SDRが高い成果を出すための10のポイントを整理しました。どれも「やろうと思えばできること」ですが、意外とおろそかになりがちです。ぜひ、自社のやり方を振り返りながら確認してみてください。
SDRとは?
SDRは、マーケティングやWebサイトなどから流入した見込み顧客に対し、電話やメール、SNSなどを通じて初回アプローチを行い、商談化(アポイント獲得)まで導く役割です。インサイドセールスの主戦力といえるポジションで、**リードと最初に接触する“顔”**ともいえます。SDRがどれだけ速く、的確にフォローできるかで、その後の商談成功率や受注率が大きく変わってきます。
1. リードが入ってきたら5分以内にアプローチ

引用:Insidesales.com
- 上記のデータは、5分以内に連絡すれば、10分以内に比べてアポ獲得率が4倍になることを示しています
- リードが流入した瞬間に気づく仕組みがないと、「せっかく問い合わせがあったのに、対応が翌日になってしまう」という事態も起こりえます。
- 具体策としては、Slackなどのコミュニケーションツールに通知を飛ばす、あるいは上長がメンションで知らせるなど、インバウンドリードを速攻でキャッチできる運用を定着させましょう。
2. 合計で5回かける

引用:Infographic best day and time to make sales calls
- 上記のデータでは、30%のリードが1回しかフォローされていない一方、5~6回かけることで接触率を70%増やせるとの調査結果です。
- 多くの営業担当者は「1~2回かけて繋がらなかったら諦める」傾向が強く、ここで大きな機会損失が発生します。
- 相手が忙しくて電話に出られなかっただけの可能性もあるので、wコールの回数を意識的に増やすだけで大幅に接触率を向上できるのです。
3. リードが入った日にたくさんかける
- リードは“来た日”が一番モチベーションが高い状態です。時間が経つほど、熱量は下がっていきます。
- また、担当者が忙しい場合、一度で電話に出られるとは限りません。同じ日に2~3回トライしてようやく繋がることも少なくありません。
- 特にインバウンドリードは「自分から情報を求めている」層が多いため、温度が高いうちにしっかりコンタクトを取りたいところです。
4. しっかり話す

引用:The 2020 Sales Prospecting Performance Report
- 上記のデータは、14分ほど話すと成果が最大になる一方、14分を超えたあたりから成果は下がるという結果も存在します。
- インバウンドリードであれば、ある程度興味を持って問い合わせをしてきているため、浅いヒアリングで終わらず、しっかり価値を訴求することが重要です。
- しかし長すぎる電話は相手の疲労に繋がるため、ベストな長さを意識して会話を組み立てましょう。
5. フォロー/掘り起こしを強化
- 上記の5回トライしても反応が薄いリードは、**ナーチャリング(育成)**に回して、時間を空けてから再度アプローチするのも手です。
- MA(Marketing Automation)ツールを導入して高度なシナリオ設計をするのが理想ですが、ハードルが高ければ手動でも構わないので、月1~2回程度メールや電話で接触するだけでも有効です。
- 中には「数ヶ月前の提案を思い出した」という顧客もいるので、忘れられないための軽いフォローを習慣化することが成果に繋がります。
6. しっかり体制構築する
- ベンチャー企業などでは、SDRを“兼業”で行う場合がありますが、上記の基準(5分以内対応、5回コールなど)を徹底するのは至難の業です。
- 行動量とスピードが求められるため、SDRに専任を置くか、少なくとも片手間にならないよう役割分担を明確にしましょう。
- もし二人以上でSDRを行うなら、誰がどのリードを担当するのかを瞬時に判断できる仕組みが大事です。リードが被ってしまうと混乱が生じ、逆に放置されるリードが出るリスクも。
7. 研修する
- インサイドセールスは「電話でアポを取るだけ」と思われがちですが、実は商談率や受注率に直結する重要なポジションです。
- ところが、受け手としてIS(インサイドセールス)業務を見ていると、質が低いケースが多いという声も少なくありません。
- 現実的に優秀な人材を配置できる組織は限られているので、研修やコーチング、ロールプレイングなどを通じてSDRのスキルを底上げするのが現実的です。
- また当たり前ですが意外とできていないのが、「自社商品の理解」です。電話内でヒアリングを重ねていくと、「ちょっと別の担当に確認します..」となるケースが少なくないです。せっかくの温度感が下がってしまうので、自社理解を深めたり、想定QAリストを作成しましょう。
8. 録音レビューする
- SDRの会話を録音し、上長やマネージャーが実際の音声をチェックするのは、最も効果的なフィードバック手法です。
- 「こう言えば相手が刺さるはずなのに、それができていない」「トークスクリプトからそれすぎて混乱している」など、具体的な改善点が見えてきます。
- ミーティングで話し合うだけではなく、実際の音声を聞くことで、アドバイスの精度と説得力が格段に増すでしょう。
9. リスト/スクリプトのPDCAを回す
- どの企業・どの役職にアプローチするかによって成果は大きく変わります。リストを最新情報にアップデートし、不要なセグメントを外していく作業は欠かせません。
- メンバーの入れ替わりも一定発生すると思うので、スクリプトも一度作成して終わりではなく、実際に使った結果を踏まえて常に磨いていく必要があります。誰でも成果を出せるよう標準化をしましょう
- 定期的な会議や打ち合わせで「最近のアポ率が上がった/下がった理由」をチームで共有し、PDCAをスピーディに回すことで標準化と高品質化を同時に実現します。
10. KPI設計する
- SDRの業務は「コール回数」「アポ獲得数」がまず注目されがちですが、受注率を意識しないと“数字だけ稼ぐ”軽いアポが増えてしまうリスクがあります。
- 架電数やアポ数に加え、アポ後の成約率やフォローによる再アポ率などをKPIに設定し、成果の質も追いかけることが大事です。
- チーム全体でそのKPIを共有し、定期的にレビューすることで、SDRが短期的なアポ取りだけに終始しない姿勢を育てられます。
まとめ
SDRで成果を出すためには、いかに素早くリードにアプローチし(5分以内)、しつこいくらいに追いかけ(合計5回以上コールし)、適切なタイミングでじっくり話し(14分前後がベスト)、フォローを怠らないかが大きなポイントになります。さらに、体制構築や研修、録音レビューなどでスキルとプロセスを継続的に高める仕組みを作ることが不可欠。
SDRは企業の“入り口”を担う要職であり、電話やメールだけではなく、顧客との第一印象から商談率・受注率までも左右する影響力を持っています。今回の10項目を改めて見直し、自社のSDR体制にどこまで落とし込めているか、ぜひ振り返ってみてください。実行度を高めることで、リードを逃さないどころか、より質の高い商談を安定的に生み出す土台が出来上がるはずです。