投稿者: 松田章吾

  • 再現性が高い新規事業の0→1ノウハウ、徹底解説

    再現性が高い新規事業の0→1ノウハウ、徹底解説

    弊社の主力事業「キーマンアポインター(営業支援サービス)」垂直立ち上げの軌跡から、事業立ち上げ方法を解説

    「新規事業をゼロから立ち上げるのは難しい」――そう思って腰が重くなることはありませんか? しかし実際のところ、ポイントをしっかり押さえさえすれば、意外なほどスムーズに事業が軌道に乗るケースも少なくありません。今回は、もともと前職で大企業~スタートアップ企業の新規事業開発のご支援をしていた経験や、私たちが「キーマンアポインター(営業支援サービス)」をリリースし誰もが知る大企業やメガベンチャーなど100社以上の企業様と取引させていただくまでに至った“垂直立ち上げ”の軌跡を、惜しみなくお話しします。
    最初はわずか2人で始めた事業でしたが、今では50人近いチームに成長させることができました。もちろん、その道のりには数多くの試行錯誤と学びがありました。2025年に向けて事業拡大を目指す方、あるいはこれから新規事業を立ち上げようと考えている方に、この経験が少しでも参考になれば幸いです。

    ※キーマンアポインター:一般的なメール営業やテレアポだけでなく、LinkedInなどのビジネスSNSを活用して“大手企業部長クラスなどの決裁者”へダイレクトにアプローチし、アポイントを獲得するという仕組みを強みにした営業支援事業

    事業拡大10ステップ

    それでは、キーマンアポインターを立ち上げていく中で見出した“10ステップ”を一つずつ解説していきます。大きな成功を収めるためには、むしろ泥臭い作業や根気強い検証が欠かせません。ぜひ、「自分ならどう応用できるか」を考えながら読み進めてみてください。

    ① 前職で感じていた業界課題

    まず最初にあったのは「業界全体の課題をどうにかできないか」という強い想いでした。私自身、前職で新規事業開発支援を行っていた際に、BtoBの営業支援に関わるケースが多かったのです。一方で、共同創業メンバーも別の会社で営業支援企業の立ち上げを行っており、「アポイントが一向に生まれない」「せっかくのアポが受注につながらない」といった行き詰まりを目の当たりにしてきました。それだけではなく、業界内では「あの会社は対応がよくない」「結果が出ない」といったマイナスの噂も数多く耳にしました。
    このような状況を見て、「もっとクライアントがちゃんと成果を得られる営業支援を作れないか?」という問題意識が芽生えたのが、そもそものきっかけでした。

    ② ひょんなことから事業アイデア着想

    とはいえ、最初から明確な仕組みがあったわけではありません。最初はただ「営業支援業界にある課題を何とか解消したい」という信念だけ。形も定まっていないまま手探り状態で動いていたんです。
    そんな折、たまたま依頼していた営業支援会社がFacebookを活用して営業していると知り、かつ優れた成果を出しているという事実を目撃しました。そこで、ふと「ビジネスSNSであるLinkedInにも、営業活動に特化した機能があるんじゃないか?」と調べてみたところ、“大手企業の部長クラスや役員クラスを含むキーマンと直接繋がれる”という可能性を発見しました。そして「これならば、従来の方法よりも効率的に決裁者へアプローチできるかもしれない」と強く感じたのです。実は前職でも、LinkedInを使った営業でそこそこ成果が出たことを思い出し、「もう一度本格的に検証してみよう」と立ち上がったのが、今のキーマンアポインター誕生の第一歩でした。

    ③ テストセールスから手応えを感じる

    手始めに作ったのは、本当にシンプルな営業資料だけ。細かいところは後回しにして、とにかく先に「動いてみる」ことにしたのです。ありがちな話として、多くの人はサービス内容や料金体系を緻密に詰めすぎるあまり、肝心の“実行”まで時間がかかってしまいます。けれど、新規事業のスタート時点では、まずはフットワークを軽く動き始めてみるほうが、大きなチャンスをつかむきっかけになります。
    そして実際にアポ取りや商談をしてみたところ、驚くほど早い段階で受注に成功。「それなら正式に事業化しよう」と、アクセルを踏んだわけです。この初期検証の素早さが、その後の成長に直結しました。

    ④ 明確なUSP策定

    事業を拡大するにあたって、絶対に外せないのがUSP(Unique Selling Proposition)の定義です。USPとは、「競合他社にはない自社ならではの強みや価値」のこと。これが曖昧なままだと、価格だけの勝負に巻き込まれたり、受注率が伸び悩んだりして苦戦することが多いのです。
    弊社の場合、「LinkedInを軸にキーマンにダイレクトアプローチできる」「ターゲット企業の質の高い商談を獲得できる」という点をわかりやすく打ち出しました。この部分が明確化されていたことで、クライアント企業に「それなら試してみたい」と思ってもらいやすくなり、成約までのスピードが格段にアップしました。

    ⑤ 泥臭い営業活動

    当初は低コストで泥臭い営業手法もフル活用していました。具体的には、よくあるテレアポ、ホームページのフォーム送信、交流会への参加など、とにかくできることは全部試した感じです。
    私自身はどちらかといえば人見知りぎみで、交流会は正直ストレスを感じるタイプでしたが、それでも週5回足を運んだ時期もありました。

    ⑥ 低コストチャネル、全検証

    またPaidチャネルも気になったので、とにかく「費用対効果が良さそう」なものは全方位で手を伸ばして検証しました。気づけばリードソースが30個近くになり、さすがに管理が追いつかなくなってきて「これはやりすぎかも…」と笑っていた時期もあります。
    しかし“広く手を出してみる”というのは、初期段階ならではの強みでもあります。一歩踏み出してみないと得られないデータや発見があるので、その後の絞り込みや優先順位の決定にも役立ちました。

    ⑦ ポジショニング戦略の遂行(本、セミナー、SNSなど)

    ある程度クライアントがつき始めた時期に、次に意識したのが「ポジションを明確に取る」という戦略でした。実はLinkedIn営業に特化したサービスを展開している企業は他にもありましたが、知名度が低かったり、あまり表立ったブランディングをしていなかったりする印象がありました。そこで、弊社は「LinkedInで決裁者アポを獲得するならここしかない」と思ってもらえるよう、一気に突き抜ける方針を取ったのです。
    具体的には、セミナー開催やSNS(特にXやLinkedIn)での情報発信、それから書籍出版などを一気に進めました。お盆休みには短期集中で書籍を執筆し、ありがたいことにAmazonで1位を獲得するほど好評をいただきました。この実績が新たな信用を生み、「LinkedIn営業や決裁者アポに興味があってEmoooveを知った」というインバウンドにも繋がり、また別の企業様と関係が生まれる――そんな正の循環が回り始めたのです。

    ⑧ プライシング

    アポが取れるようになったとはいえ、次に直面した課題が「支援品質」と「利益率」です。クライアントが増えれば、当然対応すべき業務が増えますし、サポート体制も充実させなければいけません。そこで、これまでなんと5〜6回ほど料金変更を実施してきました。
    結果として、品質を高める分のコストを適切に価格に反映できるようになり、お客様の満足度も向上。さらに社員へ利益を還元する余地も生まれ、チーム全体のモチベーションも上がりました。何より料金を上げたからといって、受注率が大きく下がるわけではないことが分かったのは大きな収穫でした。「適切な価格設定」と「ターゲティング」の調整は、新規事業の規模が大きくなるほど重要性を増してくると痛感しています。

    ⑨ SNSマーケティング

    ここからは直近の取り組みです。最近、主戦場として力を注ぎ始めたのが「Xを活用したSNSマーケティング」です。BtoBサービスとXの相性はどうなのかと思う方も多いかもしれませんが、実はかなり良い手応えがあります。私自身もともとXが得意だったこともあり、運用を本格化させたらたった1ヶ月で300リードを獲得し、その中から誰もが知る大企業との商談がいくつも進んでいる状態です。
    Xはリアルタイム性が高く、また経営層や役職者の方々が情報収集の一環で利用するケースも増えています。ちょっと侮れないチャネルだと今あらためて感じています。これから新規事業を伸ばしたい方は、意外と“X活用”が未来を切り拓くカギになるかもしれません。

    ⑩(今後)コンテンツマーケティング

    そして、これからの展望として考えているのが「コンテンツマーケティングの大幅強化」です。これまで培ってきた事例やノウハウを体系的にまとめ、ウェブメディアやホワイトペーパー、動画コンテンツなどを多角的に発信していきたいと考えています。
    たとえば、Xで多くの読者に「おっ?」と目を留めてもらい、そこからオウンドメディアやランディングページに誘導し、より濃い情報を提供するといった流れです。もちろん、反対にメディアの中身を短い投稿に活かす方法もあるでしょう。複数のチャネルを掛け合わせることで“メディア × SNS”の相乗効果を狙い、さらに多くの企業にキーマンアポインターの価値を伝えていこうと思っています。すでにリード数が激増する予感がしており、来年以降もどんな出会いが生まれるのか、とても楽しみです。

    終わりに

    ここまでかなり長いお話になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。少しでも「自分の事業でも応用できそう」というヒントがあれば嬉しいです。もし「営業支援について聞きたい」「事業開発で悩んでいる」という方がいらっしゃれば、いつでも遠慮なくご連絡ください。わたしたちがこれまで培ってきた成功事例も失敗例も、すべてオープンにしながら二人三脚で事業を成長させるお手伝いができればと思っています。
    新規事業はワクワクする反面、不安や壁にぶつかることも少なくありません。しかし、その壁を突破すれば、今まで想像もつかなかったような可能性が広がります。2025年に向けて「よし、やってみよう!」と一歩踏み出すきっかけになれたなら、これ以上の喜びはありません。ぜひ今後もキーマンアポインターの歩みを見守っていただきながら、皆さんの事業にも大いに役立てていただければと思います。どうぞこれからもよろしくお願いします。

  • 事業拡大における最重要要素「USP」とは

    事業拡大における最重要要素「USP」とは

    1. USPとは

    USP(Unique Selling Proposition)とは、**「自社の商品やサービスが、他社にはない特別な価値を提供できる理由」**を端的に示すコンセプトです。簡単に言うと、「なぜあなたから買うべきなのか」を明確化するためのキーワードやフレーズ、もしくは一連のストーリーと捉えることができます。

    たとえば「コスパ最強」「圧倒的スピード納品」といった機能的な強みでも良いですし、あるいは「ここでしか手に入らない」「この専門家たちだけが持つノウハウ」といった独自性や希少性を打ち出す場合もあります。大切なのは、他社と一線を画するポイントを言語化し、ターゲット顧客に対してしっかりと訴求できる形を作ることです。

    2. USPの重要性

    事業を拡大していくうえで、USPを持つことは以下のような恩恵をもたらします。

    1. 価格勝負にならず、単価アップが可能
      USPが明確だと、**「自社から買うべき確固たる理由」**があるため、単なる価格比較だけで判断されにくくなります。結果として、高価格帯のプランや付加価値のあるサービスを提示しても「それだけの価値がある」という説得力が生まれ、単価を上げても受注しやすくなるわけです。
    2. 競合との比較で優位に立てる
      市場にありふれたサービスだと、「結局、どこも同じに見える」と思われがちです。しかし、USPが明快だと、顧客が「他社にはない強みがここにある」と理解しやすくなるため、競合他社と並べて比較されたときでも選ばれやすくなります。

    3. ブランディングやポジショニングが容易
      USPがあると、「この領域といえばあの会社」と思ってもらいやすくなるため、マーケット内でのブランディングやポジショニングが非常にやりやすくなります。ありふれたサービスだと、メッセージもぼやけてしまいますが、USPを打ち出せば「○○の分野で唯一の選択肢」として認知を得るチャンスが高まります。

    4. 営業がやりやすい
      営業担当者の立場からすると、「なぜうちの製品・サービスを選ぶべきか」が明確なほうが提案トークやプレゼンの組み立てが非常に楽です。顧客も「なるほど、ここにしかない強みがあるんだ」と納得しやすく、受注率も自然と上がります。

    3. 弊社の事例

    弊社が展開している営業支援サービス**「キーマンアポインター」**では、次のようなUSPを打ち出しています。

    • 国内初LinkedInを活用
      多くの営業支援企業はテレアポやメール営業をメインにしていますが、私たちはLinkedInなどのビジネス系SNSを活用したBDRノウハウを整えました。また、LinkedIn社が有償で提供しているセールステックツール「LinkedIn Sales Navigator」が非常に便利に関わらずネットに情報が全く落ちていない点に気づき、このポジションで一気に攻めることにしました
    • 決裁者アポ獲得を重視
      担当者アポばかりだと成約率が落ちる、というBtoB営業の課題を解決すべく、役員・部長などのキーマンとの商談実現にこだわる形を取り入れています。
    • ABM(Account-Based Marketing)アプローチが可能
      ABMアプローチは非常に注目されている手法ではありますが、それをうまく実現、支援しているサービスは当時あまりありませんでした。「興味あるけどなかなか実行できていない」という”あるある”の課題にも切り込めると思いました。
    • マルチチャネルアプローチでアポ数を最大化
      LinkedInだけでなく、X(旧Twitter)や既存のメール営業などを組み合わせ、複数チャネルで狙った層へ訴求できる仕組みを導入。こちらも注目されている概念ではありましたが、公言して支援しているサービスは当時少なかったです。

    このようなUSPを掲げた結果、ローンチから半年ほどでSNS経由で月に300件ものリードを獲得したり、SEO対策をしていないのにGoogle検索から自然とインバウンドが入るなど、大きな成果が現れています。また、昔からある老舗の営業支援会社と相見積もりになっても、USPを明確に訴求することで受注できるケースが増加。価格競争に巻き込まれることなく、安定的な受注率を維持しています。

    4. USPの作り方

    USPは、単に「ウチは世界一○○が安いです!」と叫べばいいわけではありません。以下のステップを踏みながら、しっかりと自社の強みを言語化していくことが大切です。

    1. 市況感・現状を正しく把握

    まずは市場の動向や競合の存在、顧客が抱える課題などを正しく把握しましょう。「人と違うことをする」ためにはまず「人がしていることを知る」ことが必要不可欠です。

    • 競合の営業スタイルや特徴は?
    • 既存の顧客は何に不満を持っている?
    • 今後どんな変化が予想される?

    こうした視点を持ち、「他社がやっていない・やりきれていないポイント」に注目することで、差別化の種が見つかります。

    2. 純粋に課題と感じる点を突き詰める

    USPを作ろうとすると、つい“飾り立て”がちな人も多いですが、**「顧客が本気で嫌がっていることは何か」**を正面から捉えるほうが効果的です。
    たとえば営業支援の世界では、

    • テレアポをしたくない
    • アポが取りにくいうえに担当者レベルばかりで受注率が上がらない
      など、みんなが課題だと思いつつも「そんなものだよね」と慣れきっていた領域がありました。弊社はそこに着目し、**「決裁者にアプローチできれば本質的な解決になる」**というストーリーを打ち出したわけです。

    3. 時間をかけ、ひらめきを待つことも大切

    一朝一夕でUSPを捻り出そうとしても難しい場合があります。デスクに向かって必死に考えても、良いアイデアが浮かばないことも多いはずです。
    実際、弊社が「LinkedInに可能性がある」と気づいたのも、銭湯へ向かう自転車の移動中にふと閃いた瞬間から始まっています。

    • 新しいツールやサービスを試してみる
    • いろいろな業界の人と雑談してみる
    • 毎日のルーティンを少し変えてみる
      こうしたアクションの中で「そういえば、あれは誰もやっていないかも?」と思えるシーンに遭遇したら、USP化の第一歩になるかもしれません。

    5. まとめ

    USP(Unique Selling Proposition)は、事業拡大において“なぜあなたから買うべきなのか”を明確にする最重要要素です。USPを打ち立てることで、価格比較に巻き込まれず、競合にも負けないブランドポジションを築けます。さらに、営業活動がしやすくなり、顧客に対する説得力も高まるため、単価アップや受注率アップにも直結します。
    弊社の営業支援サービス「キーマンアポインター」がローンチ間もない中で一定の成果を上げているのも、**“決裁者へのアプローチ”“国内初のLinkedIn営業”“ABM対応”“マルチチャネル”**といった、まだ世の中に少ない要素を掛け合わせたUSPを構築したからにほかなりません。
    もし「うちの事業のUSPって何だろう?」と悩んでいるなら、まずは市場を観察してみましょう。誰もが当たり前だと思って受け入れている課題や不満があれば、そこに大きな差別化のチャンスが潜んでいるかもしれません。時間をかけたり、いつもとは違う場所や環境でアイデアを練ることで、思いもよらぬ閃きが得られることもあるはずです。USPを手に入れることは、事業を次のステージへ導く強力な推進力になるに違いありません。

  • 顧客解像度の上げ方――11の手段とその実践ノウハウ

    顧客解像度の上げ方――11の手段とその実践ノウハウ

    1. 顧客解像度とは

    「顧客解像度」とは、顧客や見込み客が抱えている課題、ニーズ、意思決定プロセスをどれだけ深く具体的に理解できているかを表す概念です。
    たとえば「この層がターゲット」と大まかに定義するだけではなく、誰が何を決め、どのような社内調整が必要なのか、どんな課題や要望を抱えているのか――こうした“深い情報”を把握しているかどうかが、事業拡大を左右します。

    顧客解像度が高いほど、以下のような効果が期待できます。

    • サービス開発や営業施策がより的確になる
    • 競合との比較でも優位性を打ち出しやすい
    • 余計な施策を省き、成果につながる行動を優先できる

    一方、顧客解像度が低いと「なぜ売れないのか」「どこに課題があるのか」が曖昧なまま、無駄な試行錯誤を繰り返しがちです。

    2. 顧客解像度を上げる11の手段

    この章では、顧客解像度を高めるための具体的な手段を「対話型」と「非対話型」に分けて紹介します。なお、対話型のほうが得られる情報は圧倒的に深いのですが、コスト(時間・労力・費用)や状況に応じて非対話型のアプローチも併用すると効果的です。

    <コスト×効果マトリクス>

    ▼Canvaデータ
    https://www.canva.com/design/DAGbGbWGwiE/6LcReBoHKOfQaGNv8E682A/edit?utm_content=DAGbGbWGwiE&utm_campaign=designshare&utm_medium=link2&utm_source=sharebutton

    上のように、左下に位置するもの(非対話型の一部)は低コストで始めやすい反面、あまり深い顧客理解は得にくい傾向があります。一方、右上に位置するもの(対話型の一部)はコストがかかる分、生の声や現場感に基づく深い理解が得られます。

    弊社の事例

    弊社は「営業支援サービス」を提供しているため、ターゲットが集まりやすい営業系のイベントやスタートアップ向け交流会に頻繁に参加し、対話型のアプローチを中心に活用してきました。
    「○○な思いで新規事業を考えていて、インタビューにご協力いただける方を探しています」と素直にお願いすると、想像以上に応じてくれる方が多かったのです。しかも、その場で相手が抱えている課題を聞ければ、適度に自社サービスを紹介することも可能で、調査と営業の両立が実現しました。
    また、とある知り合いは他社でインターンをしたり、タイミーでスポットバイトしたりすることで「現場視点の課題」をより深く理解していたと言っていました時間と手間はかかりますが、顧客解像度を高めるには非常に有効な手段でしょう。

    【対話型:7つ】

    1. アウトバウンド営業でアポ獲得
      • 電話やメールで積極的にアプローチし、見込み客と直接会う機会を確保。
      • 工数はやや高めだが、何もツテがなくともリアルな声を得やすい他、今からでもすぐにアクションできる点が特徴。
    2. イベント活用(ターゲットが集まる交流会・展示会など)
      • 比較的低コストで実施可能。参加者と直接話せるため、課題感をダイレクトに把握できる。
    3. 有料サービス活用
      • ビザスクなどで、専門家やターゲット層へインタビューを依頼。
      • 短期間で深い情報を得やすいが、費用面でハードルがある。
    4. 営業同行
      • 自社・他社の営業スタッフに同行して、実際の商談を観察する。
      • コストは低めだが、頻度が案コントローラブルだったり、参加者了承などハードルがある場合も。
    5. 紹介してもらう
      • 既存顧客や知人に会いたいターゲット像に合致する人の紹介を依頼。
      • 信頼関係がある状態で話をスタートできるため、スムーズに深い話が聞ける。
    6. 現場訪問
      • 工場やオフィスに足を運び、業務フローを見学・体感する。
      • 時間と労力はかかるが、現場のリアルな苦労を肌で感じられる。
    7. 実際に働く
      • インターンやタイミーなどを活用し、ターゲット業界の現場で仕事を体験。
      • コストと労力は大きいが、得られる理解は最大級。

    【非対話型:4つ】

    1. 受注/失注・解約理由の分析
      • 自社の過去データから、なぜ成功・失敗したかを検証。
      • 低コストだが、データの蓄積と分析が必要。
    2. 四季報、業界地図などで業界解像度を上げる
      • 大枠の市場規模や成長率、主要プレイヤーの動向を把握。
      • 現場の肌感までは得られにくいが、最低限の知識は身につく。
    3. IR、プレス、SNS、HPなどで個社解像度を上げる
      • 企業ごとの決算資料やプレスリリース、公式SNSなどをチェック。
      • 短時間で概略をつかめる反面、表層的な情報に留まりがち。
    4. 動画視聴(セミナー参加やYouTubeなど)
      • ウェビナーやYouTubeで専門家の話を聞き、知識をインプット。
      • コストは低いが、疑問点を深掘りしにくいので“補完的”に使うとよい。

    3. インタビュー時のヒアリング項目や注意点

    ヒアリングを行う際、やみくもにたくさん質問を用意すると相手に負担がかかるだけでなく、時間も足りなくなりがちです。そこで、聞きたい項目をあらかじめ整理し、自分がいま求めている情報の優先度を整理しておくことがおすすめです。

    3-1. ヒアリングカテゴリ

    「とにかく全部聞きたい!」という気持ちはわかりますが、何の優先度設定もなく質問を羅列すると、会話が散らばってしまい、本質的な話を深掘りできない恐れがあります。そこで、以下のような3つのカテゴリーをベースにまとめるとスムーズです。

    • A:相手(組織・個人)の背景を把握する
    • B:意思決定プロセスや導入時のポイントを知る
    • C:今後の取り組みや業界特有の課題を探る

    この分類により、「まずはAで“現状”を理解し、次にBで“購買・導入の核心”をつかみ、最後にCで“将来ビジョン”や“業界固有の課題”を見据える」という流れができ、会話全体にストーリーを持たせやすくなります。

    3-2. ヒアリング項目

    A:相手(組織・個人)の背景を把握する

    • ミッション(部門・部署の役割)
    • 個人の役割や担当領域(KPIなど)
    • 日々の業務内容(ツール、スケジュール)
    • 現在の課題(人員、リソース、ツール不足など)
    • 過去に試した施策やサービスの成功・失敗例

    ここでは「相手がどういう立場で、具体的に何をやっているのか」を理解することがゴールです。

    B:意思決定プロセスや導入時のポイントを知る

    • 購買・導入の意思決定プロセス(誰が予算を持っているか)
    • 社内調整や稟議の流れ(どの部門と折衝が必要か)
    • 競合や他社との比較ポイント(何を重視するのか)
    • 望ましい成果や数値目標(売上増、コスト削減など)
    • コスト感・費用対効果への考え方

    このステップでは、「どんな形で導入が決まり、何が決め手になるのか」を把握し、営業戦略や価格設定に反映していく狙いがあります。

    C:今後の取り組みや業界特有の課題を探る

    • 業界特有の商習慣や規制
    • 他に検討しているサービスやプロダクト
    • 参考にしている情報源(ウェビナー、SNSなど)
    • 今後1~3年で取り組みたい施策や目標
    • 導入後の運用イメージ、自由意見(潜在的な悩み)

    最終的に、「将来こんなことを考えているから、こういうサービスが必要になる」「業界としてこういう動きがある」という情報が得られると、今後のプロダクト開発や提案の拡張にも繋がります。

    3-3. ヒアリング時の注意点

    • 仮説や検証項目リストを事前に用意
      何を知りたいのかを明確にすると効率が上がります。ただし、仮説に固執しすぎないよう要注意。相手が語る“意外な事実”こそ新たな突破口になる場合が多いです。
    • オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける
      「なぜ?」「どう思う?」などのオープン質問で相手の意見や感情を広げ、数値やYES/NOで確認したい部分はクローズド質問で確定していくイメージです。
    • 回答を誘導しない
      「○○ですよね?」と聞いてしまうと、相手は“そうだ”と答えやすく、本音が出にくくなります。「○○なのはなぜですか?」と中立的に質問し、本音を引き出すように意識しましょう。

    4. まとめ

    顧客解像度を高めるためには、対話型の手段をどれだけ泥臭く実践できるかが大きなポイントになります。特に弊社の事例のように、営業系のイベントやスタートアップの交流会など、ターゲットが集まりやすい場所に足を運び、インタビューと同時にサービス紹介を行うやり方は、調査と営業を両立できる有効な方法です。

    一方、「時間やコストに限りがある」「まずは全体像を掴みたい」という場合は、四季報やIR情報を使った非対話型手段からスタートして、要所で対話型を取り入れるのもおすすめです。

    • インタビュー前に仮説を練りつつ、柔軟性を持って臨む
    • オープン質問で相手の意見を深堀りし、クローズド質問で事実を確定
    • 回答を誘導せず、中立的に本音を聞き出す

    これらを意識して、あなたのビジネスでもぜひ顧客解像度を上げる取り組みを始めてみてください。そうすれば、より的確なプロダクト開発や営業戦略が立案でき、事業拡大につながる大きなチャンスをつかめるはずです。

  • 【事業拡大の最重要ピース】顧客解像度の概要

    【事業拡大の最重要ピース】顧客解像度の概要

    1. 顧客解像度とは

    顧客解像度とは、**「顧客の現場やニーズ、課題、意思決定プロセスなどをどれだけ鮮明に理解できているか」**を示す概念です。ぼんやりと「この層がターゲットだよね」と思っているだけではなく、実際に顧客が何を必要としているか、どんな問題に直面しているか、そして最終的にどのような価値を求めているのかを具体的に把握することが重要です。いわゆる“ペルソナ”を設定するときも、顧客解像度が高いほど、より実態に即したペルソナやカスタマージャーニーを描けます。

    たとえば「BtoB営業の担当者をターゲットにする」と決めたとしても、担当者が実際にどのような課題/ニーズを持っているのか、どのような会議体で意思決定を行っているのか、どんなKPIを重視しているのかを知らなければ、十分に提案内容をカスタマイズできないでしょう。顧客解像度が高い企業ほど、個々の潜在ニーズを細かく拾い上げ、「そこまでわかってくれるなら、この会社と取引したい」と思ってもらえる確率がぐっと上がるわけです。

    2. 顧客解像度が重要な理由

    (1) 事業推進が加速する

    顧客の“リアル”を深く理解すると、**「この商品設計ならいける」「こういう営業トークが効果的だ」**というアイデアが具体的に浮かぶようになります。結果、サービス開発やマーケティング施策をより的確に進められるため、事業全体がスピーディにドライブします。

    (2) 無駄な施策にリソースを割かなくて済む

    想定するターゲットが実は“筋が悪い”層だった――というのはよくある話です。顧客解像度が低いまま動き出すと、「思ったほど響かない」「まったく刺さらない」といった失敗を繰り返すことになりかねません。顧客解像度が高まると、どの層が自社にマッチするかがはっきりするので、無駄な施策を減らして効率よくリソースを投入できるようになります。

    (3) 営業・マーケティングの精度向上

    顧客解像度が高い企業ほど、「どのようなテーマやメッセージが彼らにとって切実か」を把握しています。たとえば「FacebookやInstagramよりLinkedInを見ている」「意思決定に人事部も絡む」など、より具体的な行動パターンや社内事情がわかれば、ピンポイントなアプローチができるでしょう。いわば、マーケティング戦略や営業アプローチが“的外れ”にならなくなるわけです。

    3. 弊社の事例

    ここでは、弊社が実際に体験した「顧客解像度が上がったことでビジネスチャンスをつかんだ」具体例を紹介します。

    (1) 助成金コンサル会社との商談で“ブッ刺さりポイント”を発見

    あるとき私たちは「助成金コンサル」を行っている企業と商談をしました。初めは「まぁ普通のコンサル会社だよね」という印象でしたが、実際にヒアリングを進めると、この業界ならではの大きな特徴に気づいたのです。たとえば、

    • 過去の採択者リストが公開されているため、顕在度の高いリストをすぐに作成できる(しかも名寄せを行えば、**“最強のリスト”**を構築できる)。
    • 採択された企業は2回目・3回目の助成金を利用することが多く、かつリプレイス(他社のコンサルへ切り替え)も一定数発生している。そのため他業界よりナーチャリングによる成果創出確度が高くなる。
    • 多くの助成金コンサル会社は営業力が低いという現状があり、弊社が支援に入る価値がきわめて高い

    こうした事実を掴んだ結果、弊社の営業支援サービスが「非常に相性がいい」という確信が得られました。まさに**“ブッ刺さる”ポイント**が判明したのです。そこからこの領域に特化した提案を行ったところ、驚異的な受注率を誇るようになり、私たち自身も「顧客解像度の高さがこれほどまでにビジネスをドライブさせるのか!」と痛感しました。

    (2) 新規事業でターゲットを変えた途端に爆売れ

    別の新規事業においては、当初“セグメントA”が有望だろうという思い込みがありました。メンバー全員、まったく疑わず「この層こそ正解」と信じて動いていたのですが、一向に売上が伸びず…。ダメ元で“セグメントB”にアプローチしたところ、**会話を重ねるたびに「こんな機能があったらいい」「こういうソリューションなら欲しい」**といった貴重なヒントが次々に出てきたのです。
    そこで少し商品設計を変えて、営業戦略もセグメントB専用に調整したところ、見違えるほど受注が増加。同じ商品でも「顧客が本当に求めているもの」を把握し、それに合わせてリニューアルできたからこその結果でした。改めて「ターゲットを誤ると、まったく売れずに終わる」「逆に合っていれば、こんなに簡単に伸びるんだ」と実感した事例です。

    (3) 「キーマンアポインター」で見えた“筋が悪いターゲット”

    弊社が提供している営業支援サービス**「キーマンアポインター」では、営業部長クラスの方をターゲットに「どうですか?」とアプローチしていた時期がありました。ところが実際に何度か話をすると、多くの企業が「そもそも内製でやりたい」「外注まで考えていない」**という状況だとわかったのです。
    これは、実際に商談や電話で話してみないと見えないポイントでした。社内で「営業部長=営業周りの決裁者でしょ」と思い込んでいても、会社の方針として外部に依頼しにくい体質や、予算確保に人事部が絡むケースなど、複雑な事情が潜んでいます。こうした背景を知って初めて、「ああ、この層に力を入れても筋が悪いんだな」と気づいたわけです。結果、ターゲットを絞り直したところ、契約率がぐんと伸び、上記のように他の業界で大きな成功事例も出てきました。

    4. 顧客解像度の上げ方

    では、どのようにして顧客解像度を高めればいいのでしょうか。以下の3つの方法を使い分けると、効率的に“生の情報”が得られます。

    (1) まずアポを取ってみる

    「机上の空論」よりも、実際に見込み客と会話するのが最強です。商談がベストですが、テレアポや問い合わせの段階でも想像以上に貴重な情報が得られます。

    • 「何に困っているのか」
    • 「何を必要としているのか」
    • 「誰が決裁権を持っているのか」
    • 「予算をどこが握っているのか」

    「現在はどんな方法を使っていて、何に困っているか」
    こうしたポイントは、顔を合わせて話を聞くか、せめて電話で直接コミュニケーションすることで急激に解像度が上がります。

    (2) インタビューをする

    たとえばビザスクのような、専門家や特定業界のユーザーに直接話を聞けるサービスを活用するのも手です。他にも安価にインタビューを実施できるプラットフォームが複数あり、数千円~数万円程度で対象業界のキーマンにヒアリングできることもあります。

    • 「顧客視点のリアル」を引き出すため、作り込みすぎた質問だけでなく「普段どんな課題を感じていますか?」などオープンな質問も盛り込む
    • 複数人に話を聞き、共通点や相違点を分析する
      インタビューを通じて得られた“生の声”は、営業資料や商品開発をブラッシュアップする際にも大いに役立ちます。

    (3) デスクリサーチ

    公開情報やニュース記事、業界レポート、SNS上の発言などを集めるリサーチです。ChatGPTのようなAIを使って下調べをするのも最近では一般的になりました。ただ、これらの情報は温度感や内部事情を深くまで把握するには不十分なケースがあります。
    たとえば、企業Webサイトには「事業拡大中」と書いてあっても、実際の現場では上層部と実働メンバーの認識がまるで違う、ということも珍しくありません。あくまで補助的な手段として捉え、最終的には直接ヒアリングした情報と掛け合わせて、全体像を描くのが理想です。

    まとめ

    顧客解像度を高めることは、事業を面白いほどドライブさせる大きなカギです。私たち自身、助成金コンサル会社との出会いで判明した**「最強リスト作成の可能性」や「2回目・3回目利用ユーザーへのナーチャリング重要度」「営業力の弱さをカバーできる介在価値」など、実際に話をしてみて初めてわかった事実によって、大きな成功を収めることができました。
    また、新規事業でターゲットを切り替えて爆発的に売れた経験や、「キーマンアポインター」で営業部長は“筋が悪い”と気づいたケースも、結局はリアルな顧客の声を聞くことで解像度が急上昇したからこそ成し得た成果です。
    頭の中だけで仮説を立てるのではなく、商談やヒアリングの場を積極的に設け、インタビューやデスクリサーチを組み合わせることが重要になります。もし今、「ターゲットは合っているはずなのに、なかなか売れない」とか、「競合優位性を打ち出しきれない」**などの悩みを抱えているなら、一度じっくり顧客解像度を高める取り組みをしてみてください。きっと、次の打ち手がぐっと明確になるはずです。

  • 【今日から単価UP可能】プライシングに活かせるフレームワーク5選

    【今日から単価UP可能】プライシングに活かせるフレームワーク5選

    はじめに

    「新規顧客を増やさないと売上を伸ばせない」と思いがちですが、実はプライシング(価格設定)の見直しで利益が大きく変わることも多いです。
    たとえば月額100万円(原価80%)のサービスの場合、利益は20万円。しかし仮に110万円に上げれば利益は30万円となり、1.5倍になります。ここには営業リソースや広告費を新たに追加する必要がありません。
    弊社でも単価を1.5倍にした結果、受注数が減らないばかりか“より良い企業(銘柄)”に選ばれるようになったという経験があり、プライシングの威力を痛感しています。とはいえ、多くの方が「具体的にどうやって単価を上げればいい?」と悩むのも事実。そこで今回は、比較的導入しやすい5つのフレームワークを具体事例とあわせてご紹介します。

    プライシングに活かせるフレームワーク5選

    1) ゴールドロックス効果

    概要

    「松竹梅」の3段階価格で中価格帯(竹)を選ばせる戦略です。高価格帯(松)が“割高感”を演出し、低価格帯(梅)が“物足りなさ”を感じさせることで、真ん中の竹を“ちょうど良い選択肢”に見せる効果があります。

    具体事例

    • カフェチェーンのドリンクサイズ(S/M/L)
      Sサイズを380円、Mサイズを480円、Lサイズを580円で用意すると、多くの人はMサイズを選びます。「少し上のLサイズは高いし、Sサイズだと量が足りないかも」という心理が働くからです。

    • オンライン学習サービス
      月額プランで「ライトプラン:3,000円/スタンダードプラン:4,500円/プレミアムプラン:7,000円」と提示すると、プレミアムがやや高く、ライトが機能的に物足りないため、真ん中のスタンダードが一番人気になります。

    2) アンカープライシング

    概要

    最初に高額の数値を提示し、後から提示する価格を割安に感じさせる手法です。先に高い基準(アンカー)を示すことで、顧客の心理的ハードルを操作します。

    具体事例

    • 定価を先に見せる
      「通常は月額50万円かかる高機能プランですが、今回は限定で月額35万円に抑えてご案内できます」と言われると、35万円が“お得”に感じられます。

    • コンサルティングサービス
      「フルパッケージだと100万円ですが、必要部分だけ絞ると60万円でOK」と比較されると、60万円のコースが適正価格に見えてくる。

    3) デコイ効果

    概要

    似たようなプランを2つ並べただけでは、どちらを選ぶべきか迷うことがあります。そこで第三の“中途半端なプラン”を設定しておき、意図的に“一番選んでほしいプラン”を相対的に魅力的に見せるのがデコイ効果の狙いです。

    具体事例(わかりやすい数字例)

    • 月額プランA:3,000円(機能1のみ)
    • 月額プランB:5,000円(機能1+2+3)
    • 月額プランC:4,900円(機能1+2だが機能3は非対応) ← デコイ

    ここでプランCは「Bより少し安いが、使えない機能もある」という中途半端な設定。実際にはBが100円しか違わないうえに全部使えるため、「せっかくならBにしよう」という心理を誘導できます。Cは“わざと魅力を落とした囮”ですが、存在することでBをよりお得に見せる役割を果たします。

    4) ペネトレーションプライシング

    概要

    「最初は安く提供して導入障壁を下げ、顧客に成果を感じてもらってから値上げや追加契約を狙う」戦略です。市場浸透価格とも言われますが、後から段階的に上げられるのがポイントです。

    具体事例

    • SaaSツールの導入初期
      「初月無料+2ヶ月目以降は3,000円」にしておき、顧客が使い始めて価値を実感すれば「追加機能の有料版を6,000円で契約しませんか?」と提案する。

    • ECコンサルサービス
      最初は月5万円で部分的な施策のみ請け負い、成果が出たら月20万円のフルサポート契約にアップグレード。小規模の成功体験を積ませてから価格を上げても「それなら続けたい」と思わせやすい。

    5) バンドル価格

    概要

    複数商品・サービスを“セット購入”することで単品合計より割安に感じてもらう手法です。合計単価が高くても「本来単品で揃えたらもっと高い」という演出をすれば「お得」という印象を作れます

    具体事例

    • ソフトウェアセット
      「セキュリティツール30万円+データ管理ツール25万円+バックアップツール20万円」をそれぞれ単品で購入すると合計75万円。しかし、3点セットを60万円にすれば「15万円お得!」と訴求でき、高単価でも導入ハードルが下がります。

    • 上場企業の一括提供
      10種類の自社サービスをバンドル化して「1製品だけだと月額10万円×10で100万円だが、まとめて導入すれば合計70万円にする」と提示しているケースがあります。顧客は「単品の合計は100万円…でもセットなら70万円」と聞くと高くても圧倒的に割安感を覚えるので、「どうせ導入するなら一括にしよう」となりやすいわけです。この戦略で非常に伸びている上場企業がありますが、すごいスピードで顧客開拓を進めています。

    弊社「キーマンアポインター」の事例

    弊社が提供する営業支援サービス**「キーマンアポインター」**では、ゴールドロックス効果とデコイ効果を組み合わせたプラン設計を行っています。具体的には、

    • 松プラン:3チャネル対応
    • 竹プラン:2チャネル対応
    • 梅プラン:1チャネル対応

    という3段階を設けています。

    • 松プランは「一気に3チャネル使えるから最強」だが少し割高
    • 梅プランは安いが1チャネルしか使えず、決裁者獲得の幅が狭い

    結果的に**「2チャネルあれば十分だし、少し高いほうが効果は高そうだ」という理由で竹を選ぶ企業が一番多い**んです。梅の存在が“物足りなさ”を、松の存在が“割高感”を演出するため、竹が自然と“ちょうどいいお得”に見えるわけです。さらに、竹に初めて触れた顧客に対して、後から「やはり3チャネルあったほうが安定してアポ取れますよ」と松プランへのアップセルも狙えます。

    もう一つ、アンカープライシングを意識して最初の見積もりを出す場合もあります。たとえば初期費用を見積もりした後、少し渋そうな場合は初期費用を半額などにすることで、「それなら導入してみようか」となりやすいのです。ただこれは価値が薄れるので序盤から安売りしてはだめで、最後の最後にする必要があります。
    また、ペネトレーションプライシングに近い形で「最初は梅プランや、もう少し安くても良いので一旦試してもらえせんか?」と提案することもあります。もし数ヶ月で成果が見えれば「2チャネル、3チャネルに拡張しませんか?」と持ちかけられるので、顧客も納得して段階的に投資を増やしてくれるのです。特に上場企業や優良企業などにはよく活用しております。

    ちなみに私たちは逆にBPOサービスを利用する立場でも、最初は月3万円という破格のプランから始めて「こんなに助かるなら、お金出してもいいや…」とズルズル満足しているうちに10倍以上の金額を支払っているという実体験があります。**「最初は安く試してハマったら高いプランへ誘導する」**のは、ある意味“恐ろしく”効果的な手法だと実感しています。

    まとめ

    プライシングを見直すと言うと「強引に値上げすればいいだけ?」と思われがちですが、実際は**「どう見せるか」「どの順番で提案するか」「何を比較対象にするか」**が重要です。紹介した5つのフレームワーク(ゴールドロックス効果、アンカープライシング、デコイ効果、ペネトレーションプライシング、バンドル価格)を活用すれば、同じ商品・サービスであっても“お得感”や“納得感”を高めながら単価を上げることが可能になります。
    新規開拓の前に、一度価格設定を練り直してみてはいかがでしょうか。少しの工夫で「こんなに利益が変わるのか」と驚くほど、ビジネスの伸びしろが広がるかもしれません。価格は価値の証明とも言えます。しっかり顧客にメリットを伝えつつ、単価アップを成功させるヒントとして、ぜひこれらのフレームワークを試してみてください。

  • 【単価UPしたのに受注数増加】99%の人が勘違いしているプライシングの考え方

    【単価UPしたのに受注数増加】99%の人が勘違いしているプライシングの考え方

    はじめに

    「高価格は売れにくい」と思い込んで、あえて低い単価を設定し続けてはいないだろうか。周囲を見渡してみると、「価格を下げすぎて体力を消耗している」「安売り競争から抜け出せずジリ貧になっている」企業や個人は少なくない。実は、単価を安く設定することで“売れているように見える”だけで、実際には利益を確保できず、従業員やサービス品質にも悪影響が及んでいるケースが多い。
    そこで、本記事ではプライシングにまつわる一般的な誤解を解きほぐしながら、単価を上げても受注数が減らない方法と、そのために押さえておくべき要点を整理する。新規事業や商品を立ち上げたばかりの方、あるいは現状の価格戦略に疑問を感じている方にとって、ヒントになれば幸いだ。

    安売りで生まれる弊害

    単価を下げれば「売れやすくなるだろう」という発想は一見わかりやすい。しかし、安売りには見過ごせない弊害がいくつも存在する。まず、利益率の低下は経営を圧迫する大きな原因だ。価格が安い分、数をこなして初めて利益が出るモデルに陥りやすく、リソースや広告費を投入したものの、結果的に手元に残る利益が少ないという事態に陥る。
    さらに、安価なサービスは「品質もそれなりだろう」というイメージを抱かれやすく、本来なら高付加価値で提供できるのに、低価格=低品質のレッテルを貼られてしまう危険がある。顧客満足度を高めるためにはサポートの充実が欠かせないが、低い単価で顧客が増えすぎると対応コストが大きくなり、結果的にサービス品質が落ちるケースも少なくない。従業員にも還元できなければモチベーションが下がり、人材流出を招く恐れもある。
    こうした悪循環が続くと、最終的には“安さ”しか武器がない会社として見られがちになり、「本当に資金に余裕がない顧客」ばかりが集まるようになる。その結果、さらなる値下げ交渉を受けやすくなり、ますます利益が出ないというジレンマに陥る。安さは最強のセールスポイントに見えて、その裏では大きなリスクを抱えているのだ。

    プライシングでよくある勘違い

    1.高いと売れない、安いほうが売れる

    一般的には「価格が高いほど顧客が敬遠する」というイメージが強い。しかし、実際の購買行動は価格だけが決め手ではない。ターゲットが本当に求める価値を的確に示せていれば、多少高くても受け入れてもらえる。たとえば、高級車が一定の需要を維持しているのは、安さではなくブランド価値や所有感が重視されているからだ。

    2.事例や実績が少ないので高くしてはいけない

    スタートアップや新規事業の場合、「大手ほどの実績がないから価格を下げるしかない」と思いがちだ。しかし、安売りで顧客数を増やしても、結果的にサービス品質やサポートに手が回らず、悪い評判を生む危険もある。たとえ実績が少なくても、ターゲットに刺さるUSP(Unique Selling Proposition)を確立できれば、高めの価格帯でも十分勝負になる。

    3.プライシング変更のプライオリティが低い

    新規顧客の獲得や営業強化に予算を割く企業は多いが、肝心のプライシングを後回しにしてしまうケースが目立つ。実際は、価格を適正化するだけで大幅に利益率が改善し、ビジネスモデルそのものが健全化することがある。仮に「月100万円・コスト80%」の商品の場合、月額をたった10%上げるだけで利益が20万円→30万円の1.5倍になるほどのインパクトがある。新規開拓を続けて利益を1.5倍にするのは相当大変な一方、プライシングを見直すだけですぐ実現できる可能性がある。大きい安売りキャンペーンやリード獲得施策ばかりに注力するより、まず価格戦略を見直してみるほうが手っ取り早く収益を上げられる場合もあるのだ。

    単価アップするうえで重要な観点

    ■USPがあるか

    競合他社との差別化があいまいだと、価格競争に巻き込まれやすい。逆に「うちだけが持つ独自性」が明確であれば、少々高値を提示しても「これなら払う価値がある」と顧客に思ってもらいやすい。USPを言語化し、短いフレーズで説明できるようにしておくことが大切だ。

    ■ブランドがあるか

    ブランド力とは、信頼感や共感を生む力でもある。SNSや書籍出版、メディア露出などで認知度を高め、特定の領域で「この会社といえば◯◯」というイメージを獲得すると、価格に対する抵抗が下がる。事例が少ない段階でも“ブランディングの可能性”を見せる工夫は侮れない。

    ■サービス利用時の付加価値があるか、手厚いか

    商品やサービスそのもの以外にも、導入サポートやアフターフォローなどが充実していれば、それを含めた総合的な価値として評価される。そこに付随する安心感が「少し高いけど、お願いしたい」という意識につながる。

    ■信頼感があるか

    公式サイトや営業資料、提案時のトーク内容など、どこか一つが不十分でも「本当に大丈夫かな?」と疑われてしまう。数ある選択肢の中で「ここなら間違いなさそうだ」と思わせる仕組みを整備することがポイントだ。導入事例や実績数、顧客の声などを効果的に活用し、顧客が納得する理由付けを丁寧に提示していきたい。

    ■費用対効果のギリギリを攻める

    最終的には、「支払った対価以上のメリットが得られる」と感じてもらえるかがカギになる。顧客に具体的な数字や事例を示し、「この価格でも十分に元が取れる」と理解してもらえれば、高価格帯でも意外なほど抵抗なく受け入れられる。

    弊社の事例

    実際のところ、弊社が提供している営業支援サービス「キーマンアポインター」も、スタート時は安めの価格帯でアプローチしていた。しかし思い切って単価を1.5倍に上げた結果、受注数がほとんど変わらないどころか、むしろ“いい銘柄”と呼べる大企業やメガベンチャーとの取引が急増した。
    この背景には、「国内初のLinkedIn営業」を掲げる明確なUSPがあったり、書籍出版などでブランディングを強化していたことが大きい。さらに、従来の営業代行では“担当者レベルのアポイント”が中心だったところを、弊社は“決裁者アポイント”にこだわって費用対効果を大きく向上させた。
    もちろん、価格を引き上げるからにはアプローチ先のTierを上げる努力も必要だった。中小企業ばかりでなく、大手やメガベンチャーにもしっかり接触し、営業資料やWebコンテンツで信頼感を醸成していく。すると「その価格を払うだけの価値があるサービスだ」と認識してもらえ、結果として自社にも十分な利益が残り、顧客の満足度も上がる好循環を生み出せた。

    まとめ

    プライシングはビジネスの根幹を左右する重要な要素でありながら、周囲の価格設定に流されたり、「高くしたら売れないのでは」という恐れから手を打てないケースが多い。だが、安さだけに頼る戦略は長期的に見て危うい。利益率を落とすだけでなく、ブランドイメージやサービス品質の低下も招きがちだ。
    そこで大切なのは、価値を正しく理解してもらうための差別化とブランディング、そして顧客に「費用対効果が合う」と思わせる明確なロジックを提示すること。自社のUSPを磨き、信頼感を醸成し、適正価格を提示することで、安売り競争とは別次元のステージに進むことができる。
    弊社の事例が示すように、単価を1.5倍にしても顧客数がさほど変わらないばかりか、さらに上位企業からの引き合いが増えることもある。安価なだけが取り柄の企業にはなりたくない、持続的な利益と顧客満足度を両立させたいという方は、ぜひ一度、自社の価格設定を見直してほしい。売り手にも買い手にもプラスになるプライシングこそが、事業拡大の大きな鍵を握っている。

  • エンタープライズ営業とは?KPI設定のコツや注意点を解説!

    エンタープライズ営業とは?KPI設定のコツや注意点を解説!

    エンタープライズ営業で成果を最大化するためには、適切なKPI設定が欠かせません。大企業をターゲットにするこの営業手法は、限られたリード数や長期的なリードタイム、さらに多様なステークホルダーが絡む複雑なプロセスが特徴です。そのため、従来の営業とは異なる戦略と指標が求められます。

    本記事では、エンタープライズ営業の基本的な特徴やKPI設定のコツを詳しく解説し、成功に繋がる具体的なアプローチ方法や注意点を紹介します。

    エンタープライズ営業とは

    エンタープライズ営業とは、大企業や公的機関などの大規模な組織を対象とする営業手法のことです。ここでは、エンタープライズ営業の特徴と中小企業向け営業との違いについて解説します。

    ■エンタープライズ営業の特徴

    エンタープライズ営業には、いくつかの特徴があります。まず、リード数の少なさです。大企業は全体の企業数のわずか0.3%で、最初からターゲットは限定的です。また、リードタイムが長い点も特徴で、商談が契約に至るまでには複数の部署を巻き込み、事前の予算計画も影響するため、時間を要するケースが一般的です。

    さらに、一度の取引による売上規模が大きく、複数部署への展開が期待できます。このため、一社ごとのアプローチが収益に直結します。これらの特徴を十分に理解し、効率的に戦略を組み立てることが必要です。

    ■中小企業向け営業との違い

    エンタープライズ営業と中小企業向け営業の最大の違いは、その目的とプロセスにあります。中小企業向け営業は、新規顧客の獲得を優先し、リードを絞り込む「短期型」の手法が基本です。

    一方、エンタープライズ営業は、契約後の展開を重視する「長期型」の手法が中心です。また、意思決定者が明確な中小企業に比べ、大企業では複雑な組織体制の中から決裁者を見つける必要があります。この違いを踏まえ、適切なアプローチを設計することが大切です。

    エンタープライズ営業ならではのKPIの4つの独自性

    エンタープライズ営業では、成果を測る指標(KPI)が他の営業手法と異なる点が特徴です。これは、ターゲットの特性や営業プロセスの複雑さが関係しています。ここでは、エンタープライズ営業特有のKPIの4つの独自性を詳しく解説します。

    ①限られたリード数

    エンタープライズ営業では、ターゲットとなる大企業の数が極めて少ない点がKPI設定の特徴です。具体的には、日本の企業全体のわずか0.3%しか該当しません。このため、数多くのリードを追いかけるのではなく、限られたリードに対していかに深くアプローチをするかが大切です。

    例えば、リードの質を高めるための情報収集や、最適なタイミングで接触する計画が求められます。このような特性から、KPIの設定も「リード数」ではなく「有望リードの成約率」や「キーマンとの接点数」など、リードを質で評価する項目に重点を置くべきでしょう。

    ②大規模な売上規模

    エンタープライズ営業では、1件の取引がもたらす売上規模の大きさが特有のKPI設定に大きく影響します。中小企業向けでは契約件数を重視することが多い一方で、大企業を対象とした営業では、単一の契約が大きな収益を生むため、案件ごとの価値が重視されます。

    例えば、SaaS型サービスの場合、数千人規模の社員が利用することで、売上が大幅に拡大するケースが一般的です。そのため、KPIも「新規取引件数」より「契約額の合計値」や「導入部署数」など、収益性に直結する指標を優先的に取り入れる必要があります。

    ③長期的なリードタイム

    大企業との取引は、商談から契約までの期間が長い点もKPIに影響します。導入に向けて多くの部署や関係者との調整が必要であり、さらに予算計画が年度単位で行われることが一般的なためです。具体例として、あるサービスを導入するまでに数カ月から1年以上かかるケースも珍しくありません。

    こうした状況では、短期的な成果を求める指標ではなく、長期的な商談進捗を管理するためのKPIが必要です。商談ステージごとの進捗率や年度内の決裁確率など、中間プロセスを把握する指標を設定することで、商談の全体像を把握しやすくなります。

    ④多様なステークホルダー

    エンタープライズ営業では、複数のステークホルダーが関与するため、誰とどのように関係を築くかがKPIに影響します。大企業の意思決定は単一の担当者ではなく、複数の部署や決裁者が共同で行うのが一般的です。

     

    このため、キーマンとの商談数や決裁者への提案回数など、多面的な接点を測定するKPIが求められます。多くの関係者との接触機会を増やすことで、最終的な契約成立の可能性を大きく高めることができます。

    エンタープライズ営業のKPIに必要な4つのスキル

    エンタープライズ営業でKPIを達成するには、高度なスキルが求められます。対象となるのは大規模な組織のため、通常の営業以上に深い理解や綿密な準備が必要です。ここでは、特に必要な4つのスキルを解説します。

    ①ターゲットを深く知る情報収集力

    エンタープライズ営業では、ターゲット企業を徹底的に理解する情報収集力は欠かせません。リード数が限られるため、1社ごとのアプローチの質を高める必要があるためです。具体的には、業界動向や財務状況、組織図、競合分析などを詳細に調査し、企業が抱える課題を把握する必要があります。

    展示会やセミナーでの情報交換や、社内外のネットワークを活用する方法も効果的です。これにより、企業のニーズに合致した提案が可能になり、商談の成功率を大幅に高められます。

    ②戦略的な行動を支える計画力

    複雑な商談プロセスを成功に導くには、計画力が欠かせません。エンタープライズ営業では、商談成立までに時間を要するため、綿密なスケジュール設計が求められます

    また、複数の部署が関与する場合、それぞれの部署の優先事項に合わせた調整も必要です。計画力を発揮することで、限られた時間やリソースを効率よく配分し、営業活動をスムーズに進めることが可能です。

    ③円滑な対話を生むコミュニケーションスキル

    エンタープライズ営業では、多様な関係者との円滑な対話を実現するコミュニケーションスキルが求められます。1つの契約には複数の意思決定者が関与し、異なる立場の意見を調整する必要があるためです。

    また、信頼を得るためには、迅速なフォローや誠実な姿勢が欠かせません。このスキルがあることで、各ステークホルダーとの関係をスムーズに構築し、商談を進めやすくする土台を作ることができます。

    ④契約を勝ち取る交渉力

    交渉力は、エンタープライズ営業の成果を左右する大切なスキルです。大企業との商談では、競合他社も多く、契約を勝ち取るための交渉力が求められます。具体例として、相手企業の要望を汲みつつ、自社にとって有利な条件を提案し、双方に利益がある合意を形成することが挙げられます。

    また、無理な条件を受け入れることで契約後に問題が発生するリスクを避けるため、バランス感覚を持った交渉が必要です。このような交渉を成功させることで、短期的な契約だけでなく、長期的な取引関係の基盤を築くことができます。

    エンタープライズ営業のKPI設定で成功するための4つのコツ

    エンタープライズ営業でKPIを達成するには、緻密な計画とターゲット企業の理解が不可欠です。特に、情報収集やリード獲得の戦略、信頼関係の構築が成果に直結します。ここでは、成功するための4つの具体的なコツを紹介します。

    ①ターゲット企業の情報収集

    ターゲット企業を深く理解することは、エンタープライズ営業の基盤となります。大企業は組織が複雑なため、情報不足が商談進展の障害となることが少なくありません。業界動向や競合状況、組織図などを徹底的に調べることで、顧客の課題やニーズを的確に把握する必要があります。情報収集を徹底すれば、顧客の信頼を獲得する可能性が格段に高まります。

    ②リード獲得の営業戦略

    限られたリードをいかに効果的に活用するかが、エンタープライズ営業の成否を分けます。大企業が少ないため、ターゲットを慎重に絞り込み、効率的なアプローチを設計することが大切です。

    また、インサイドセールスを活用したり、定期的なメール配信で情報提供を続けることで、リードの関心度を高めることも効果的です。戦略的な行動が、限られたリソースの最大化に繋がります。

    ③信頼関係の構築

    信頼関係の構築は、エンタープライズ営業で欠かせない要素です。大企業は取引先との長期的な関係を重視するため、信頼がない場合には商談は進みません。信頼を得るには、迅速な対応やフォローアップを徹底するだけでなく、顧客が抱える課題に真摯に向き合う姿勢を示す必要があります。

    さらに、顧客の期待を上回る提案を行い、具体的な課題解決に繋がる行動を積極的に行うことで信頼を深めることが可能です。このような地道な取り組みは、競合との差別化を図るだけでなく、長期的なパートナーシップ構築の基盤となります。

    ④決裁者との早期接触

    エンタープライズ営業では、決裁者との早期接触が成功を左右します。大企業では意思決定が複数層で行われるため、最終的な決定権を持つ人物に接触しなければなりません。商談の初期段階で組織図を調査し、適切な部署に的確にアプローチすることが大切です。

    また、現場担当者との良好な関係を築き、決裁者への紹介を依頼する手法も効果的です。これにより、商談が迅速に進み、競合他社より優位なポジションを確保できます。タイミングを逃さない早期接触が、商談成功への近道です。

    エンタープライズ営業のKPIを達成するための4つの実践ポイント

    エンタープライズ営業でKPIを達成するには、戦略的かつ継続的な取り組みが必要です。そのためには、ターゲットを明確化し、組織全体を視野に入れたアプローチを行うことが大切です。ここでは、実践的な4つのポイントを解説します。

    ①ABMでターゲット企業を明確にする

    エンタープライズ営業では、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)を活用してターゲット企業にピンポイントでアプローチすることが大切です。対象となる企業が少ないため、漠然としたリストアップは非効率です。

    これにより、リソースを効率的に投入し、より効果的なアプローチが可能です。また、ABMを活用することで企業ごとの課題に合致した提案ができるため、営業活動の精度が向上し、成果が直接的に高まります。

    ②企業の相関図を考える

    ターゲット企業の相関図を作成することは、エンタープライズ営業を進める上で欠かせません。大企業は複雑な組織構造を持つため、誰が意思決定者なのかを特定する必要があります。

    具体的には、各部署の役割や、関係する人物の立場を整理し、関係性を可視化しなければなりません。この相関図を基に、どのような順序でアプローチを進めるべきかを明確にすることが可能です。

    ③柔軟な情報提供で関心を引き出す

    ターゲット企業の関心を引き出すためには、柔軟で多様な情報提供が必要です。エンタープライズ営業では、単なるサービス紹介にとどまらず、顧客にとって有益な情報を提供することが信頼関係を築く第一歩となります。

    例えば、業界動向や市場分析に基づいたレポートを作成し、相手企業の課題解決に繋がる内容を共有するのが効果的です。また、情報提供の形式を多様化することで、企業の興味を引き出し、次のステップへ進む可能性が高まります。

    ④多様な接点づくりでリードを拡大する

    エンタープライズ営業では、多様な接点を通じたリードの拡大が欠かせません。大企業は新規営業を受ける頻度が高いため、接触の機会を増やす工夫が必要です。例えば、直接訪問や電話に加え、イベントやウェビナー、SNSを活用して接点を広げる方法があります。

    また、既存の取引先からの紹介を促進することで、新たなリードに繋げることも可能です。こうした多面的なアプローチを実行することで、KPI達成に向けたリード拡大の基盤を築けます。

    エンタープライズ営業のKPIを設定する際の注意点

    エンタープライズ営業では、ターゲットの特性やプロセスの長期化を考慮したKPI設定が大切です。不適切な指標を設定すると、リソースを無駄にするだけでなく、非効率な活動を引き起こす可能性があります。以下のポイントを押さえましょう。

    ■架電数を設定しない

    エンタープライズ営業では、KPIに架電数を設定するのは適切ではありません。大企業は新規営業への対応が確立されているため、テレアポの成功率が低いためです。また、リード数自体が少ないため、電話をかける回数を増やす戦術では成果を上げるのは難しいでしょう。

    その代わり、「キーマンとの接点数」や「有益な商談数」など、質を重視した指標を設定することが求められます。こうすることで、限られたターゲットに効果的にアプローチでき、リソースを効率よく活用することが可能です。

    ■有望営業機会数を設定する

    エンタープライズ営業では、有望営業機会数をKPIとして設定するのが効果的です。これは、商談が実際の成約につながる可能性を基準に進捗を評価するためです。例えば、契約成立の確率が高いリードを特定し、その進捗状況を測定する方法があります。

    また、「年度内の決裁確率」や「部署間の稟議進捗」などを評価項目に含めることで、商談の進行状況を具体的に把握できます。このように、成果に直結する営業機会を中心にKPIを設計することで、より効果的な営業活動が可能です。

    まとめ

    エンタープライズ営業は、大企業を対象とするため、中小企業向け営業とは異なる戦略とスキルが求められる手法です。限られたリード数や多様なステークホルダー、長期的なリードタイムなど独自の課題に対応するため、情報収集力や計画力、交渉力のスキルが必要不可欠です。

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  • エンタープライズ営業・SMB営業とは?違いや必要なスキルを解説

    エンタープライズ営業・SMB営業とは?違いや必要なスキルを解説

    事業の成功には、ターゲット特性に応じた営業戦略が欠かせません。特に、エンタープライズ営業とSMB営業では、アプローチの方法や必要なスキルに大きな違いがあります。大企業を対象とするエンタープライズ営業では、複雑な課題解決能力や長期的な信頼関係の構築が大切です。

    一方、中小企業をターゲットとしたSMB営業では、迅速な意思決定や柔軟な提案力が求められます。本記事では、この2つの営業手法の違いやメリット、必要なスキルを詳しく解説し、それぞれの特性を最大限に活かすポイントを紹介します。

    エンタープライズ営業とSMB営業とは

    企業の営業戦略は、ターゲットとする企業規模に応じて異なります。エンタープライズ営業は大規模な顧客を対象に、SMB営業は中小企業向けの手法を採用するのが特徴です。それぞれの特徴を理解し、適切な手法を活用することが大切です。

    ■エンタープライズ営業の定義

    エンタープライズ営業とは、大手企業や公的機関を対象とした営業手法です。大規模な取引先では複数の部署や意思決定者が関与するため、顧客の複雑な課題に対応できるソリューションの提供が求められます。

    SaaS企業の場合、提供するサービスをグループ会社全体へ展開する戦略が一般的です。この営業手法の特徴は、契約単価が高く、LTV(顧客生涯価値)が向上しやすい点にあります。一方で、情報収集力や計画的なアプローチ、効率的な進行管理が欠かせません。さらに、意思決定者に対して適切な提案を行う交渉スキルも大切です。

    ■SMB営業の定義

    SMB営業は、従業員数が数名から数百名規模の中小企業を対象とする営業手法です。短期間で商談が成立しやすいのが大きな特徴です。中小企業では意思決定プロセスがシンプルなため、直接決裁権を持つ人物と商談できるケースも珍しくありません。

    そのため、製品やサービスの具体的な利点を簡潔に伝えることで、スムーズに成約につなげることが可能です。市場規模が広く、アプローチ対象が多い点も強みですが、多様な顧客に対応するには、柔軟な提案や迅速な対応が求められる場面が多くなります。

    エンタープライズ営業とSMB営業のハイブリッド戦略のメリット

    エンタープライズ営業とSMB営業を統合したハイブリッド戦略は、それぞれの強みを組み合わせ、競争力を大幅に向上させる効果的なアプローチです。ここでは、具体的な3つのメリットを紹介します。

    ■市場シェアの拡大

    ハイブリッド戦略を採用することで、広範な市場シェアの拡大が可能です。エンタープライズ営業では高単価の契約を獲得し、SMB営業では迅速な商談によって多数の顧客を効率的に取り込むことができます。

    例えば、大企業向けには高付加価値の専門サービスを提供し、中小企業向けには手頃な価格の標準パッケージを提案する方法が考えられます。このように異なる市場ニーズに対応することで、収益基盤を強化しつつ、競合との差別化を図ることが可能です。

    ■柔軟なブランド展開

    ハイブリッド戦略は、多様なブランド展開を可能にする効果的な手法です。エンタープライズ営業では専門性や高品質を強調し、SMB営業では手軽さやコストパフォーマンスを訴求することで、異なる顧客層に適切にアピールできます

    大企業にはカスタマイズ性や高いサービス品質を前面に押し出し、中小企業には導入のしやすさを重視した標準化ソリューションを提供することで、幅広いニーズに対応可能です。このような柔軟なブランド展開により、幅広い市場での認知度と競争力を高められます。

    ■利益の最大化

    ハイブリッド戦略の主要な目的の一つは、利益を最大化することです。エンタープライズ営業では高収益な長期契約を確保し、SMB営業では短期的な成約を積み重ねることで、安定した収益基盤を構築します。

    大規模企業との契約による継続的な収益は、事業全体の収益性を向上させます。一方、中小企業にはサブスクリプションモデルを採用することで、顧客数を増やしつつ収益を拡大することが可能です。このように、両市場へのアプローチを組み合わせることで、安定性と成長性を両立する経営に繋がります。

    エンタープライズ営業とSMB営業の戦略的な5つの違い

    エンタープライズ営業とSMB営業は、対象とする市場規模や商談の進め方に異なる特性があります。それぞれの違いを理解することで、より効果的な営業戦略の立案が可能です。

    ①市場選定と商談発掘アプローチの違い

    エンタープライズ営業は、特定の市場や業界に集中し、顧客の課題を深掘りすることが特徴です。一方、SMB営業は幅広い市場を対象とし、多くのリードを効率的に獲得することを重視します。

    例えば、エンタープライズ市場では、対象企業の意思決定プロセスや内部構造を詳細に分析し、それに応じた個別の提案を行います。一方、SMB市場では、マーケティングキャンペーンや標準化された営業ツールを駆使して、短期間で潜在顧客を発掘する手法が一般的です。

    ②訴求ポイントの違い

    ターゲット市場によって訴求ポイントも大きく異なります。エンタープライズ営業では、カスタマイズ性の高いソリューションや専門的なサポートが求められる一方、SMB営業ではコスト削減や導入の手軽さが重視されます。

    大企業向けには、柔軟に対応可能な機能やカスタマイズ性を強調することで信頼の獲得が可能です。中小企業向けには、短期間で導入可能なプロセスや明確なコストパフォーマンスをアピールする方法が効果的です。このように、顧客ニーズに応じた訴求内容を適切に調整することで、商談の成功率を高められます。

    ③必要とされる人材特性の違い

    エンタープライズ営業では、専門知識や高度な交渉スキルを持つ人材が必要です。複雑なプロジェクト管理や長期的なパートナーシップ構築が求められるため、高度な専門性が不可欠です。

    これに対し、SMB営業では柔軟な対応力や迅速なコミュニケーション能力が重視されます。多様なニーズに素早く応じ、効率的に提案を進める力が求められるためです。このような違いは、採用基準や育成プログラムにも影響を及ぼします。

    ④セールスプロセスと手法の違い

    セールスプロセスにも違いがあります。エンタープライズ営業では複数の意思決定者と調整を行うため、商談が長期化する傾向があります。一方、SMB営業は意思決定者への直接的なアプローチが可能で、短期間で完結するシンプルなプロセスが特徴です。

    大企業との商談では複数回の提案や調整が必要になるため、リードタイムも長くなります。中小企業向けの営業では、電話やメールを活用した効率的なアプローチで、短期間での契約締結が可能です。それぞれの特性を把握し、適切な戦略を構築することが大切です。

    ⑤サービス提供スタイルの違い

    サービスの提供方法にも大きな違いがあります。エンタープライズ営業では、顧客ごとにカスタマイズされた高コストのサポートが中心です。

    一方、SMB営業では、効率性を重視した標準化されたサービス提供が主流です。FAQや動画チュートリアルを活用し、自己解決を支援する仕組みを整えることで、低コストでの運用が可能です。この違いは、コスト構造や顧客満足度に大きな影響を与えます。

    エンタープライズ営業とSMB営業に必要なスキル

    エンタープライズ営業とSMB営業では、それぞれ異なるスキルが求められます。特にエンタープライズ営業では、高度な専門知識と計画性が必要で、複雑な意思決定プロセスを理解して対応する力が求められます。

    ■エンタープライズ営業に求められるスキル

    エンタープライズ営業では、長期的な信頼関係の構築と高度なカスタマイズ提案が大切です。そのため、分析力や交渉力を備えた計画的な営業が求められます。

    リサーチ力

    リサーチ力は、エンタープライズ営業の基盤となるスキルです。顧客企業の市場ポジションや業界動向、組織構造を詳細に調査することで、的確な提案が可能です。

    また、競合他社が提供するソリューションを分析し、自社の強みを活かした付加価値を提示することが顧客の信頼獲得に繋がります。こうしたリサーチの積み重ねが、顧客との信頼関係を築く土台となり、長期的な関係構築を支える要素となります。

    計画遂行力

    計画遂行力は、エンタープライズ営業の複雑なプロセスを管理する上で欠かせないスキルです。商談の各段階で目標を明確にし、それを順序立てて進めることで、成果に繋げることができます。

    交渉力

    交渉力は、エンタープライズ営業で長期的な契約や高額取引を成功させる上で、特に大切なスキルです。顧客のニーズを深く理解しながら、自社の利益を確保する柔軟な提案が必要とされます。

    ■SMB営業に求められるスキル

    SMB営業では、多数の顧客に短期間でアプローチする必要があるため、迅速な対応力や柔軟性が欠かせません。限られたリソースを最大限に活用し、成果を上げるスキルが求められます。

    迅速な対応力

    迅速な対応力は、SMB営業で他社との差別化を図るために大切なスキルです。中小企業では意思決定が早い傾向があるため、営業担当者はスピーディに動く必要があります。問い合わせに即座に応じたり、見積もりを迅速に提出することで、顧客の信頼を得ることが可能です。

    的確な提案力

    的確な提案力は、顧客の課題を深く理解し、適切なソリューションを提供する大切なスキルです。特にSMB営業では、限られた予算やリソースを持つ顧客に対し、具体的かつ実現可能な提案を行う能力が求められます。

    柔軟な問題解決力

    柔軟な問題解決力は、顧客固有の課題に最適に対応するために欠かせないスキルです。SMB営業では、標準化されたソリューションだけでは対応できない状況が発生することも少なくありません。

    エンタープライズ営業の進め方5つのステップ

    エンタープライズ営業では、計画的なアプローチが成功に繋がります。以下の4つのステップを実行することで、大規模なターゲット企業との関係構築と収益拡大を効果的に進めることが可能です。

    ①ターゲット企業の選定

    ターゲット企業の選定は、エンタープライズ営業を成功させる大切な出発点です。企業規模や業界動向、予算規模、競合他社の状況などを総合的に分析し、適切な候補を絞り込む必要があります。

    SFAツールやMAツールを活用することで、企業の購買履歴や意思決定プロセスを把握し、自社商材に適した企業を効率よく見極められます。この段階で精度を高めることが、後の営業活動全体の成果に直接影響を及ぼすため、最も大切な段階です。

    ②インサイドセールスの活用

    インサイドセールスは、効率的なリード育成や商談機会の創出に効果的な手法です。メールや電話を活用して、ターゲット企業の意思決定者にアプローチし、商談を進めるきっかけを作ります。

    特にBDR(ビジネス・ディベロップメント・レプレゼンタティブ)モデルを採用することで、潜在ニーズを把握しやすくなり、的確な提案に繋げたりすることが可能です。例えば、メールキャンペーン後のレスポンスを分析し、優先順位を明確化することで、ターゲット企業へのアプローチを効率化し、商談進展を促進することが期待できます。

    ③リファラル戦略の実行

    リファラル戦略は、信頼性の高い接点を活用し、商談の可能性を高める効果的な手法です。既存の顧客やパートナー企業からの紹介を通じて、ターゲット企業との関係構築をスムーズに進めることができます。

    顧客企業と共同でイベントを開催し、その場でターゲット企業と接触する方法は、新たな商談機会を生み出すだけでなく、既存の関係をより強固にするために効果的です。また、リファラル戦略は特に新規開拓が難しい市場で効果を発揮します。

    ④企業構造の把握

    エンタープライズ営業では、ターゲット企業の構造を深く理解することが大切です。意思決定に関与する複数の部署や担当者の役割を把握し、それぞれに合ったアプローチを行う必要があります。

    例えば、組織図を活用して意思決定者を特定し、その人物のニーズや関心を分析することで、効率的に商談を進めることが可能です。この準備により、交渉の流れがスムーズになり、契約後のサポート体制の構築も簡単になります。さらに、情報を事前に整理することで、競合他社に対する優位性を確保することも可能です。

    ⑤LTV最大化の施策

    契約後のLTV(顧客生涯価値)の最大化は、エンタープライズ営業で欠かせない施策です。特に、初期導入した部署やプロジェクトを起点に、他部署や関連企業への展開を進めることで、長期的な収益の確保が可能になります。

    導入部門での成功事例を活用して他部門に共有することで、全社的な導入を促進するアプローチが効果的です。この手法により、収益の安定化だけでなく、顧客との信頼関係を深めることもできます。さらに、商材の柔軟性を高めることで、多様なニーズに対応しやすくなり、さらなる拡大が見込めます。

    エンタープライズ営業とSMB営業の4つの戦略ポイント

    エンタープライズ営業とSMB営業では、アプローチ方法や重点すべき点が異なります。ここでは、各市場で効果を発揮する4つの戦略ポイントを解説します。

    ①顧客ニーズの把握

    営業活動を成功させるには、顧客ニーズの把握が不可欠です。エンタープライズ市場では、複雑に絡み合った多層的な課題を捉える力が求められます。一方、SMB市場では、コスト削減や迅速な導入など具体的な要望への対応が大切です。

    エンタープライズ企業には、詳細な購買プロセス分析に基づいた提案のカスタマイズが効果的です。SMB企業に対しては、シンプルで導入しやすいソリューションを提示するのが効果的です。このように、各市場に適したアプローチでニーズを正確に把握でき、商談の成功率が大きく向上します。

    ②商材特性の理解

    商材特性を正確に理解することは、適切な価値提供を実現する大切な基盤です。エンタープライズ市場では、複数部署での利用や拡張性を意識した提案が求められます。一方、SMB市場では、低コストで迅速に導入できるシンプルさが重視されます。

    エンタープライズ向けには、ソリューションの柔軟性やカスタマイズの可能性を強調することが効果的です。一方で、SMBには導入のスピードや明確な費用対効果をアピールすることで、それぞれのニーズに合った提案が可能となります。

    ③業務プロセスの効率化

    営業活動の生産性を高めるには、業務プロセスの効率化が欠かせません。エンタープライズ市場では、長期的かつ複雑なプロジェクトを管理するために、詳細な進行管理が必要です。一方、SMB市場では短期間で成果を出すため、標準化されたプロセスが適しています。

    営業支援ツールやCRMシステムを活用して案件を一元管理し、効率的にリソースを配分することで、生産性が向上します。こうした取り組みにより、透明性を確保しつつ、迅速に対応することが可能です。

    ④複数のチャネルの用意

    複数のチャネルを活用することで、異なる顧客層に効率的にリーチできます。エンタープライズ市場では、直接訪問や共催イベントなど高接触型のチャネルが効果的です。一方、SMB市場では、オンライン広告やインバウンドマーケティングなどのデジタルチャネルが効果的です。

    エンタープライズ向けには、営業担当者による個別アプローチを通じて深い関係性を築く必要があります。対して、SMB向けにはウェビナーやコンテンツマーケティングを活用して効率よくリードを獲得する戦略が適しています。これにより、幅広い商談機会を創出することが可能です。

    まとめ

    エンタープライズ営業とSMB営業は、それぞれ異なる市場特性に応じた営業戦略が必要です。エンタープライズ営業では、長期的な信頼関係の構築と複雑な課題解決が求められる一方、SMB営業では、スピード感と的確な提案力が成功を左右します。

    さらに、両者を組み合わせたハイブリッド戦略を採用することで、市場シェアの拡大や利益最大化が期待できます。

    株式会社Emoooveは、LinkedInを筆頭としたSNSの複数チャネルを活用して、お客様のターゲットとなる企業の決裁者に特化したアポイント獲得支援が大きな強みです。ターゲット決裁者とのコンタクトにお悩みの企業様は、ぜひご相談ください。

  • エンタープライズ営業に必要なスキルとは?基本から思考法まで詳しく解説!

    エンタープライズ営業に必要なスキルとは?基本から思考法まで詳しく解説!

    エンタープライズ営業は、大企業を対象とする高度な営業スタイルです。単に商品を売るのではなく、顧客企業の課題解決を目指す提案力や信頼構築が求められます。契約単価の高さや導入実績が企業のブランド価値を高める要素となるため、多くの企業にとって戦略的な営業手法とされています。

    本記事では、エンタープライズ営業の概要、注目される理由、必要なスキルやマインドを詳しく解説します。

    エンタープライズ営業とは?

    エンタープライズ営業とは、大規模な法人を対象とした営業活動を指します。この営業スタイルは、高額な契約金額や長期的な取引が特徴です。顧客企業の課題を解決し、信頼関係を築くことが大切な役割となります。

    ■エンタープライズ営業の定義

    エンタープライズ営業は、「大企業をターゲットとし、複雑なプロセスを経て契約を結ぶ営業活動」と定義できます。顧客となる企業の規模が大きいほど、意思決定に関与する人物も増え、多層的な交渉が求められます。

    また、エンタープライズ営業では、顧客企業のビジネス課題を解決するソリューション提案が不可欠です。この営業手法では、単に製品を売り込むのではなく、顧客の成功を支えるパートナーとしての信頼を得ることが求められます。そのため、契約後もアフターフォローや改善提案を継続的に行うことで、長期的な関係構築が図られます。

    エンタープライズ営業が注目される理由

    エンタープライズ営業が注目を集める背景には、特定の魅力や強みが存在します。特に、受注単価の高さや、企業ブランドの向上につながる導入実績が挙げられます。以下では、これらのポイントを詳しく解説します。

    ■エンタープライズの受注単価が高いため

    エンタープライズ営業が注目される最も大きな理由の一つは、受注単価の高さにあります。大規模な法人を対象とするため、提供する商品やサービスは、一般的に高額であることが特徴です。

    これには、大企業が事業運営や戦略遂行で不可欠なシステムやソリューションを必要としていることが背景にあります。その結果、一件の契約が企業の年間売上に大きな影響を与えるケースも少なくありません。

    さらに、高額な取引は単なる収益源以上の意義を持ちます。契約の中で、企業が独自のソリューションを提案・実現することで、顧客との信頼関係が深まり、さらなるアップセルやクロスセルの機会を生む可能性が高まります。そのため、エンタープライズ営業は、収益性だけでなく、継続的な成長を支える欠かせない手段として位置づけられています。

    ■エンタープライズ導入実績になるため

    エンタープライズ営業の成功事例は、企業にとって強力なマーケティング資産となります。特に、大企業との取引実績は、他の潜在顧客に対する信頼性やブランド力を向上させる大きな武器です。これは、営業活動で説得力のある事例を提供できるだけでなく、「この企業が導入しているのだから安心だ」という社会的証明としても機能します。

    また、エンタープライズ企業は影響力が大きいため、取引実績が業界内での競争優位性を高める一因ともなります。その結果、新規顧客の開拓がよりスムーズに進み、営業効率の向上にもつながります。このように、エンタープライズ営業は単なる利益の追求だけでなく、企業の未来を切り開く基盤としての役割を担っています。

    エンタープライズ営業の特徴

    エンタープライズ営業には、他の営業スタイルにはない独自の特徴がいくつかあります。その中でも、売り上げ規模の安定性や契約プロセスの複雑さ、ターゲットの少なさが挙げられます。それぞれを詳しく解説します。

    ■売り上げの規模が大きいため安定している

    エンタープライズ営業は、取引規模が非常に大きいのが特徴です。一般的に、大企業が導入する製品やサービスは、その企業の中核となる業務やプロセスに直接影響を及ぼすものが多く、高額な契約が成立します。一度取引が成立すると、顧客企業が簡単に別のサービスへ切り替えることは難しく、継続的な収益が期待できる点が大きな魅力です。

    さらに、契約が長期にわたる場合も多く、サブスクリプションモデルや保守サービスが含まれるケースでは、定期的な収益源として安定的な売り上げを見込むことができます。これにより、企業の財務基盤を強化し、より長期的な視点での事業戦略を立てやすくなります。

    ■契約関与者数が多い

    エンタープライズ営業では、意思決定に関与する人物が多いのが特徴です。通常の営業活動では、担当者や購買部門とのやり取りが中心となりますが、エンタープライズ営業では、経営陣、部門責任者、IT部門など複数の部署が関与する場合が一般的です。このため、契約までのプロセスが長期化し、交渉や合意形成に多大な時間と労力が必要となります。

    また、各部門が異なる視点や優先事項を持っているため、それぞれに応じた提案や説明が求められます。この複雑なプロセスをスムーズに進めるためには、営業担当者の提案力やコミュニケーション能力が大切なポイントです。

    ■ターゲットの数が少ない

    エンタープライズ営業では、対象となる企業の数が限られているのも大きな特徴です。大企業の数は全体的に少なく、特定の市場では数十社や数百社の規模にとどまります。このため、営業活動では、限られたターゲット企業に対して綿密なリサーチとアプローチを行う必要があります。

    また、ターゲット数が少ない分、各企業に対する営業活動の質が求められます。具体的には、顧客のニーズや課題を深く理解し、それに対して最適な解決策を提案することで、競争相手に対する優位性を確立することが大切です。このように、効率よりも成果を重視したアプローチが求められる点が、エンタープライズ営業の特徴です。

    エンタープライズ営業に必須な5つのスキル

    エンタープライズ営業では、顧客企業の複雑な意思決定プロセスに対応しながら、高額な契約を成立させるため、特定のスキルが求められます。以下では、成功に欠かせない5つのスキルを詳しく解説します。

    ① 商談成約率を高めるための「関係構築力」

    エンタープライズ営業で関係構築力は成功の基盤です。大企業を相手にする場合、信頼を築くまでに時間がかかることが一般的です。顧客企業が求めるのは、単なる取引相手ではなく、長期的に信頼できるパートナーです。そのため、営業担当者は、取引先のキーパーソンと継続的にコミュニケーションを取り、信頼関係を構築する必要があります。

    さらに、顧客企業の文化や業界の特性を理解し、それに合わせた対応を行うことが不可欠です。例えば、単なる商品説明ではなく、顧客が抱える課題を共有し、それを解決するための具体的な提案を行うことで、関係を深めることができます。こうした努力が、商談の成約率を大きく向上させる要因となります。

    ② 商談を有利に進めるための「提案力」

    提案力は、エンタープライズ営業で極めて不可欠なスキルです。大企業は、製品やサービスに対して高い期待を抱いており、その期待を上回る提案が求められます。ただ商品を紹介するだけではなく、顧客が抱える課題を深く理解し、それに対する具体的で実行可能な解決策を提示することが必要です。

    特に、提案の内容が顧客企業の経営戦略や業務プロセスに与える影響を明確に示すことが効果的です。また、提案内容には競合他社との差別化ポイントを含めることで、より強い説得力を持たせることができます。このような価値ある提案が、顧客に対して「この営業担当者から購入したい」という意欲を高めます。

    ③ 競争力を高めるための「情報収集力」

    情報収集力は、エンタープライズ営業を成功させるための大事な要素です。顧客企業の業界動向、競合他社の動き、自社製品の強みや弱みなど、多岐にわたる情報を収集・分析することで、的確な営業戦略を立てることができます。これにより、顧客企業に対してより効果的な提案を行えるようになります。

    また、顧客企業の経営課題や現在のニーズを把握することも欠かせません。例えば、最近の市場動向や法規制の変更などが、顧客企業の事業にどのような影響を与えているのかを理解することで、タイムリーで的確な提案を行うことが可能になります。情報に基づいた行動こそが、競争力を高めるポイントとなります。

    ④ 複雑なプロセスに対応できる「リスク回避力」

    エンタープライズ営業では、契約プロセスが長期化しやすく、複数のステークホルダーが関与するため、リスクが多岐にわたります。リスク回避力とは、これらの複雑なプロセスを的確に予測し、トラブルを未然に防ぐ能力を指します。

    例えば、商談中に予期せぬ課題が発生した場合でも、迅速に対応し、解決策を提示できる能力が欠かせません。また、事前に関係者の要望や懸念点を十分に把握し、交渉の場で予想外の状況に直面しないよう準備を行うことが求められます。このように、リスクを最小限に抑える能力は、大規模な取引をスムーズに進める上で不可欠です。

    ⑤ 信頼関係を築くための「コミュニケーション力」

    最後に、コミュニケーション力はエンタープライズ営業で全ての活動を支えるスキルです。顧客企業のニーズや懸念点を正確に把握し、それに応じた提案や説明を行うことで、信頼関係を深めることができます。また、経営層や部門責任者など、多様な関係者との対話を通じて、全体の合意形成を促進する役割を果たします。

    さらに、顧客とのコミュニケーションは、単に言葉を伝えるだけではありません。適切なタイミングでフォローアップを行い、顧客が求める情報を迅速に提供することで、プロフェッショナルとしての印象を高めることができます。このスキルを磨くことが、長期的な取引関係の構築に直結します。

    エンタープライズ営業に必要なマインド・思考スキル

    エンタープライズ営業を成功に導くためには、スキルだけでなく、適切なマインドセットや思考スキルが不可欠です。以下では、顧客志向や成長姿勢、プロアクティブな行動力を詳しく解説します。

    ■顧客志向

    エンタープライズ営業では、常に「顧客第一」の姿勢を持つことが求められます。大規模な企業を相手にする際には、製品やサービスの販売以上に、顧客企業の課題を解決することが大切な目標となります。そのため、営業担当者は、顧客のニーズや期待を深く理解し、それに応じた提案を行うことが必要です。

    また、顧客志向の姿勢は、顧客企業との信頼関係を築くうえでも欠かせません。例えば、単に商品を売り込むだけでなく、相手企業が抱える課題や不安に耳を傾け、共に解決策を模索する姿勢を示すことで、パートナーとしての信頼を得ることができます。このような姿勢を持つ営業担当者は、長期的な取引を実現する可能性が高まります。

    ■学習・成長への姿勢

    エンタープライズ営業では、変化の激しいビジネス環境に適応するため、常に学び続ける姿勢が求められます。顧客の業界動向や市場の変化、競合他社の動きなどを把握し、それを自分の営業活動に反映させることが大切です。また、新しい営業手法やテクノロジーを積極的に取り入れることで、競争優位性を確保することができます。

    さらに、過去の成功事例や失敗から学ぶことも成長に欠かせません。例えば、商談の際に発生した問題点を振り返り、次回以降に活かすことで、営業活動の質を向上させることができます。このような「成長マインドセット」を持つことは、エンタープライズ営業の世界で成功するためのポイントです。

    ■プロアクティブな姿勢

    プロアクティブな姿勢とは、物事を能動的に捉え、自ら進んで行動する姿勢を指します。エンタープライズ営業では、顧客企業の多様な課題に対して待ちの姿勢ではなく、自ら提案し、問題解決の主導権を握ることが不可欠です。この積極的なアプローチが、競合他社との差別化を生むポイントとなります。

    また、プロアクティブな姿勢は、顧客との関係性を深めるうえでも大きな役割を果たします。例えば、顧客が課題を抱える前にその可能性を察知し、事前に提案を行うことで、顧客からの信頼を獲得することが可能です。このような行動力を持つ営業担当者は、顧客企業の成功に繋がる存在として評価されます。

    まとめ

    エンタープライズ営業は、大企業を対象とした営業スタイルであり、高額な契約や長期的な信頼関係の構築が特徴です。その成功には、顧客の課題を解決する提案力や、複雑なプロセスに対応できるスキル、そして顧客志向やプロアクティブなマインドセットが求められます。


    株式会社Emoooveでは、お客様のターゲットとなる企業の決裁者に特化したアポイントの獲得支援を行っております。マルチチャネルによるアポ機会最大化を実現させ、「営業代行を利用したけど、結果に繋がらない…。」など、お悩みをまるごと解決します。まずはお気軽にご相談ください。

  • エンタープライズ営業で成功するには?押さえるべき特徴とスキル

    エンタープライズ営業で成功するには?押さえるべき特徴とスキル

    エンタープライズ営業とは、大企業を対象にした高度で戦略的な営業手法です。一般的な営業と比べ、取引規模が大きく、契約までのプロセスが複雑であるため、特別なスキルやアプローチが求められます。また、大企業特有の意思決定プロセスを理解し、柔軟に対応する力も必要です。

    本記事では、エンタープライズ営業の特徴や課題、成功させるために必要なスキルや具体的な進め方を解説します。大企業との安定した長期的な取引を目指す方に向けた実践的な内容ですので、ぜひ参考にしてください。

    エンタープライズ営業とは?

    エンタープライズ営業とは、大企業を対象にした営業手法で、取引規模が大きく、契約までのプロセスが複雑である点が特徴です。この手法は、SaaS企業やハードウェアを提供する企業に多く見られます。エンタープライズ営業では、企業全体や複数部門をまたぐサービス提供を行い、長期的な収益性と顧客生涯価値(LTV)の向上を目指します。

    近年、この営業手法が注目される背景には、SMB市場の競争激化と大企業との取引の安定性への期待があります。大規模な企業を顧客に持つことで、一度契約が成立すれば、継続的な取引や追加導入が期待できるため、持続可能なビジネスモデルを構築する上では欠かせません。

    エンタープライズ営業の特徴

    エンタープライズ営業にはいくつかの独自の特徴があります。ここでは、それらを解説していきます。

    ■売り上げが大きく安定している

    エンタープライズ営業の大きな特徴は、1件あたりの売り上げ規模がとても大きいことです。大企業は中小企業に比べて予算規模が大きく、より多くのリソースを投じて長期的な取引を行う傾向があります。

    また、大企業は短期間の契約ではなく、長期的な導入を前提としている場合が多いため、継続的な収益が見込めます。さらに、初期導入後に追加のカスタマイズや拡張サービスを購入するケースもあり、結果としてLTV(顧客生涯価値)が大幅に向上するのがエンタープライズ営業の大きなメリットです。

    このような点から、エンタープライズ営業は収益基盤を安定させる効果が期待されています。

    ■契約関与者数が多い

    エンタープライズ営業では、契約に至るまでに多くの関与者が登場する点が特徴です。例えば、あるソフトウェアを導入する場合でも、現場での運用を担う担当者、プロジェクトを管理する部門長、さらには最終的な承認を下す経営陣など多くのステークホルダーが意思決定に参加します。

    これにより、各部門や役職ごとに異なるニーズや懸念に対応しなければならないため、営業活動が複雑化します。また、大企業では内部調整に時間がかかることもあり、営業担当者には、長期的な関係構築や慎重なコミュニケーションが求められます。

    さらに、すべての関与者を満足させる提案を行うためには、製品やサービスの柔軟なカスタマイズも必要になるケースが少なくありません。

    ■ライバル企業が多い

    エンタープライズ営業のもう一つの特徴は、競争の激しさです。大企業との取引は多くの営業チームにとってとても魅力的なため、同じ顧客を狙うライバル企業が多数存在します。このような環境では、価格や条件の優位性だけでなく、差別化された付加価値の提供が求められます。

    また、すでに他社のサービスを導入している企業にアプローチする際には、競合製品との差別化を明確に示し、切り替えを促す戦略が必要です。さらに、大企業はリスクを避ける傾向が強いため、新しいサービスや製品の導入には慎重な検討が行われます。

    エンタープライズ営業の課題

    エンタープライズ営業は魅力的な市場を持つ一方で、いくつかの課題があります。以下では代表的な課題を詳しく解説します。

    ■サービス導入までの検討期間が長い

    エンタープライズ営業の最大の課題の一つは、契約までに時間がかかることです。大企業では、意思決定に複数の部門が関与し、それぞれの承認プロセスを経なければなりません。例えば、ITソリューションを導入する場合、現場のニーズ調査から経営陣の予算承認まで、数カ月から場合によっては1年以上の時間が必要になることもあります。

    このような長い検討期間が生じる背景には、大企業特有のリスク回避志向や、各部門が異なる基準で導入効果を評価する点があります。営業担当者は、このプロセスを見越したスケジュール管理や、進捗を確実に促進するための提案力が求められます。また、長期間の商談に対応するため、粘り強いフォローアップが必要不可欠です。

    ■柔軟なカスタマイズが求められる

    もう一つの課題として、大企業向けの営業では柔軟なカスタマイズ対応が求められる点が挙げられます。大企業は独自の業務フローや要件を持っていることが多く、標準的な製品やサービスでは十分に対応できないケースも少なくありません。そのため、営業担当者は顧客ごとの具体的なニーズを正確に把握し、それに応じた提案を行う必要があります。

    柔軟性を確保するには、製品やサービスのカスタマイズを行うチームとの緊密な連携が大切です。また、カスタマイズには追加のコストや時間がかかるため、顧客にその価値を理解してもらう説得力も求められます。

    エンタープライズ営業に求められるスキル4選

    エンタープライズ営業を成功させるには、特定のスキルが必要です。大企業を相手にするこの営業手法では、契約までのプロセスが長期化し、多くの関係者が関与するため、専門的な能力が求められます。以下では、エンタープライズ営業で特に不可欠とされる4つのスキルを解説します。

    ■企業との信頼関係を築ける「コミュニケーション能力」

    エンタープライズ営業では、企業との長期的な信頼関係を築くためのコミュニケーション能力が不可欠です。大企業はリスクを嫌う傾向が強いため、営業担当者の言葉や行動が信頼に直結します。

    また、顧客の意思決定に関与する多くの人物と良好な関係を構築し、スムーズな意思疎通を図る力も求められます。この能力は、単なる「話す力」だけではなく、相手の意見を引き出し、課題を共に解決していく姿勢が不可欠です。信頼を得るには、誠実な態度と一貫した対応がポイントとなります。

    ■商談を勝ち取るための「交渉力」

    大企業を相手にした商談では、交渉力も不可欠です。エンタープライズ営業では、価格や契約条件、カスタマイズ対応など、多岐にわたる要素が交渉の対象となります。顧客は複数の選択肢を慎重に検討するため、営業担当者は他社との違いを明確に示し、自社の提案が最適であることを納得させる必要があります。

    また、相手の予算や導入スケジュールなど制約を考慮しつつ、双方にとって利益となる妥協点を見つけ出すスキルも求められます。強引な交渉ではなく、顧客のニーズを理解し、それに応じた柔軟な対応を行うことで、信頼を損なわずに商談を成功に導けます。

    ■企業との関係構築のための「計画立案力」

    エンタープライズ営業では、長期的な視点での計画立案力が欠かせません。大企業との取引は、単発で終わるものではなく、長期的な関係性の構築が前提となります。そのため、営業プロセス全体を見通し、具体的なステップを設定する計画が求められます。

    例えば、初回のアプローチからサービス導入後のサポート体制まで、各フェーズでの目標を設定し、それを達成するためのアクションを明確にする必要があります。また、大企業の意思決定プロセスが複雑であるため、どのタイミングで誰にアプローチするかを見極めることも大切です。

    ■企業を深く理解するための「情報収集力」

    エンタープライズ営業では、顧客企業を深く理解するための情報収集力が不可欠です。大企業は規模が大きく、組織構造や意思決定のプロセスが複雑であるため、顧客の全体像を把握しておくことが大切です。営業担当者は、業界動向や企業のビジョン、直面している課題などを多角的に調査し、それらを踏まえた提案を行う必要があります。

    具体的には、企業の公式ウェブサイトやIR情報、ニュース記事、さらには直接のヒアリングを活用して情報を集めます。また、競合他社の動向を把握し、それに基づいて自社の提案を差別化することも大切です。このように、事前準備を徹底することで、顧客の課題に対する具体的な解決策を提示でき、信頼を得やすくなります。

    エンタープライズ営業を進める方法

    エンタープライズ営業を効果的に進めるには、具体的なアプローチが必要です。大企業を相手にするこの営業手法では、ターゲット企業の選定からアプローチ方法まで、綿密な計画が欠かせません。ここでは、成功率を高めるための3つの方法を解説します。

    ■顧客生涯価値(LTV)の高い企業を見つける

    エンタープライズ営業では、顧客の選定が成功の第一歩となります。特にLTV(顧客生涯価値)の高い企業をターゲットにすることが不可欠です。LTVが高い企業は、初回の契約だけでなく、サービスの継続利用や追加導入による収益増加が見込めるため、営業活動に対するリターンが大きくなります。

    そのため、売上規模や業界動向、将来の成長性を考慮しながらターゲットを絞り込むことが必要です。また、ターゲット企業の選定には、既存顧客のデータ分析や市場調査が役立ちます。こうして得られた情報を基にアプローチを開始することで、より高い確率で契約を獲得できるようになります。

    ■組織構造やキーマンを把握する

    大企業にアプローチする際には、まずその組織構造や意思決定のプロセスを把握することが必要です。多くの場合、大企業の意思決定には複数の部門が関与しており、各部門ごとに異なるニーズや課題があります。これらを理解するためには、ターゲット企業のウェブサイトや公開資料、または業界レポートを活用して内部の情報を収集することが効果的です。

    さらに、意思決定に影響を与えるキーマンを特定し、その人物と関係を築くことも成功への近道です。キーマンはしばしば経営層や部門責任者にあたるため、彼らに自社の製品やサービスの価値を効果的に伝える方法を検討することが大切です。

    ■ターゲットに合わせて個別にアプローチする

    エンタープライズ営業では、画一的なアプローチは効果が薄い場合が多いです。むしろ、ターゲット企業ごとのニーズや課題を理解し、それに合わせた個別のアプローチが必要です。例えば、特定の課題解決に役立つ事例を提示したり、競合他社と比較した場合の優位性を説明したりするなど、具体的な提案を行うことで、顧客の関心を引きやすくなります。

    また、提案内容は顧客の立場に立ったものであることが欠かせません。そのためには、事前に徹底したリサーチを行い、相手が抱える課題を深く理解した上でアプローチする必要があります。

    エンタープライズ営業を成功させるためのポイント

    エンタープライズ営業を成功させるには、単なる営業活動だけではなく、長期的な視点での戦略と具体的なアプローチが必要です。ここでは、その中でも特に意識すべき3つのポイントを解説します。

    ■ターゲット企業とより多くの接点を形成する

    エンタープライズ営業では、ターゲット企業との接点を増やすことが不可欠です。多くの部門や関係者が意思決定に関わる大企業では、限られた担当者とだけやり取りしていると、全体像を把握するのが難しくなります。

    そのため、複数の部門や役職にアクセスし、幅広い接点を築くことが必要です。さらに、多くの接点を持つことで、突然の状況変化にも迅速に対応できる体制を整えることができます。

    ■企業の決裁権を握る人と信頼関係を築く

    大企業の商談を成功させるには、決裁権を持つ人物との信頼関係を構築することが不可欠です。決裁者は契約の最終的な承認を下すため、彼らのニーズや期待に応える提案を行うことが欠かせません。特に、経営層や部門長クラスのキーマンは、プロジェクトの全体的な価値やリスクを評価する役割を担っています。

    また、決裁者との信頼関係は短期間で築けるものではないため、丁寧なフォローアップや一貫性のある対応が必要です。信頼を得ることで、提案に対する抵抗を最小限に抑えることができます。

    ■円滑に営業を進めるために相関図を把握する

    エンタープライズ営業では、ターゲット企業内の相関図を理解し、内部の人間関係を把握することが成功へのポイントです。特に、大企業では複数の部門が連携して意思決定を行うため、誰がどのような役割を持ち、意思決定にどの程度影響を及ぼしているかを明確にすることが必要です。

    また、顧客組織内での優先順位を理解することで、どの問題にフォーカスすべきかを判断する手助けにもなります。相関図を活用することで、無駄のない営業活動が実現し、顧客からの信頼を得やすくなるでしょう。

    まとめ

    エンタープライズ営業は、大企業を対象にするため、売上規模が大きく安定性が高い一方で、長い検討期間や複雑な意思決定プロセスが特徴です。その成功には、顧客企業の深い理解や信頼関係の構築が不可欠です。

    しかし、「顧客企業の決裁者となかなか繋がれない」などのお悩みもあるのではないでしょうか。株式会社Emoooveでは、LinkedInなどのビジネスSNSを筆頭とした複数チャネルを活用して、お客様のターゲットとなる企業の決裁者に特化したアポイントの獲得支援を行っております。まずは、お気軽にご相談ください。

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