カテゴリー: シン・セールス総合研究所

  • ABMが注目される背景と具体的な導入手順<シン・セールス総合研究所>

    ABMが注目される背景と具体的な導入手順<シン・セールス総合研究所>

    はじめに


    ABMは「特定の企業(アカウント)を狙い撃ちし、その企業が抱える課題やニーズに合わせて深くアプローチするマーケティング手法」のことを指します。従来の“マスマーケティング”や“リードを大量に集める”発想とは対極にあり、あえてターゲットを絞り込むことで、より質の高い商談や受注率の向上を狙うのが特徴です。直近弊社にもABM施策に関するご相談が増えているのですが、これはBtoB市場で競合が激化し、大手企業やハイレイヤーの顧客にフォーカスする必要が高まっていることが背景にあります。

    同時に、ABMが流行している理由としては、営業やマーケティングのデジタル化が進み、企業や担当者の情報を得やすくなった点も大きいと考えられます。以前であれば、大手企業内部の構造を調べたり、個別の部長クラスに辿り着くのは容易ではありませんでした。しかし、SNSの台頭や外部データの充実によって、比較的スムーズに社内の主要キーマンを探し当て、個別の戦略を組めるようになったのです。

    とはいえ、ABMは従来の一括アプローチよりもはるかに工程が多く、担当者の力量に左右されやすい手法であるため、実際に使いこなせている企業はまだ少数と言えます。「難しいからこそ、今取り組めば大きな差別化ができる」と見る向きもあり、ますます注目が集まっているわけです。

    そこで本記事では、ABMの基本的な仕組みからメリット、実際の手順や成功のためのコツまでを整理し、これからABMを導入してみたい企業や担当者に向けたガイドとしてまとめました。

    ABMのメリット


    ABMが注目される理由はさまざまですが、代表的なメリットとしては以下の三つが挙げられます。

    LTV(顧客生涯価値)の向上

    特定の企業と深い関係を築くことで、一度の受注に留まらず、長期的なリピートや追加発注が期待できるようになります。大手企業の場合、導入が決まれば契約金額自体が大きいため、LTVの向上が企業収益に直結しやすいと言えます。

    ROI(投資対効果)の改善

    大量のリードを集める施策は一見コストが安そうに見えますが、結果的に質の低いリードが多く集まり、営業リソースを浪費してしまうことが少なくありません。ABMでは「最初から狙うべき企業に焦点を当てる」ため、無駄打ちが減り、時間や人件費を効率よく使えるようになります。

    Tierの開拓

    従来の手法ではアクセスが難しいとされていた大手企業や役員クラスにも、ABMであれば「徹底した事前リサーチ」や「個別の提案」を通じてアプローチが可能です。結果として“最上位のTier”に分類される企業を開拓できれば、その後の

    ABMが向いている企業


    ABMは全企業に向くわけではなく、以下のような条件を満たす場合に特に効果が大きいと考えられます。

    • LTV(顧客生涯価値)が高い:一定規模以上の企業を顧客としており、単価が大きく、長期取引の見込みがある
    • 大手企業を開拓したい:Tierを引き上げたい、あるいは今後さらにブランド価値を上げたいという企業
    • ターゲットが狭い:不特定多数ではなく、特定の業種・規模に絞ったビジネスを展開している場合、ABMが最適な手法となりやすい

    ABMの手順


    ABMにはいくつかのステップがあり、一気にすべてを完璧に行うのは簡単ではありません。以下では、おおまかな流れを解説します。

    1. ターゲット選定

    最初に、「どの企業を重点的に攻めるか」を決めます。企業名だけを洗い出す段階もあれば、人物名まで特定することもあるでしょう。特にAIプロダクトやSaaSなど、導入に大きなコストや社内調整が伴うサービスの場合、事前に組織図を調べたり、既存顧客の類似企業を探したりするケースが多いです。

    ここで「人物名までリストアップするのか」「企業名だけで進めるのか」は、かけられる予算や工数とのバランスが重要になります。完璧に作ろうとしすぎると時間ばかりが過ぎて実働が遅れ、“テストセールス”的な要素が後回しになってしまうため、社内での期待値や締め切りを踏まえて決めるべきです。

    2. リストアップ

    ターゲットを選んだら具体的にリスト化を進めていきます。最低限、企業名・電話番号・ホームページURL・ターゲット部署名などを揃え、余裕があれば人物名や所在地、想定課題なども書き加えると良いでしょう。ただし、これもやりすぎると“リスト作り”が終わらないままになるリスクがあるため、“必要十分な項目”を見極めることが大事です。

    また、“仮説としての課題・ニーズ”を一緒にメモしておくと、後のアプローチで「相手は○○を悩んでいそうだから、こういう話をしよう」という作戦を立てやすくなります。

    3. チャネル選定

    ターゲットのリストが揃ったら、今度は「どの手段でアプローチするか」を考えます。コール、フォーム送信、手紙(レター)、SNS(LinkedIn・Facebook・Xなど)、リファラルなどが候補になります。

    人物まで特定している場合は、手紙やSNSを活用した“個別アプローチ”が威力を発揮しやすいでしょう。大手の部長や役員クラスに電話をかけるのは難易度が高いことも多く、むしろSNSやレターで“直接”コンタクトしたほうが通りが良いケースもあります。ここで企業文化や業界の慣習なども考慮しながら最適なチャネルを選択することが重要です。

    4. マルチチャネルアプローチ

    ABMではターゲット企業が限られている分、シングルチャネルだけで済ませるのはもったいないという考え方が基本にあります。SNSからアプローチできるならSNSを先に試み、それで反応が薄ければレター+コールを組み合わせる、というように複数の手段を用いて相手の反応を得る確率を高めるのが効果的です。

    「どれを先に使うか」は相手の性質や自社コスト、速度感次第ですが、概して、

    • 接点がある場合(既存の繋がりがある人)
      • その接点をフルに活かして紹介やリファラルで持っていく
    • 接点が全くない場合
      • まずはコストとスピードの観点からSNSを試す
      • SNSで ダメならレター+コール
      • そこでもダメなら時間を空けて再アプローチ

    こうした流れで粘り強くアプローチすることが多いです。

    ABMを成功させる上でのポイント


    ABMが流行している一方で、現場レベルで「うまくいかない」という声も多く聞かれます。その理由を幾つか挙げると、以下のような課題が浮かび上がります。

    ABMの”落とし穴”を適切に把握し、対策する

    一見すると「特定企業を狙うだけだから簡単じゃないか」と思われがちですが、ABMには次のような難しさがあります。

    長期戦になってしまう
    短期的に成果が出る手法ではなく、中長期の時間軸で動く必要があるため、社内の関係者や上層部がその点を理解していないと腰折れしがちです。

    運用リソースが不足している
    ターゲット企業一社ごとに深いコミュニケーションが必要となり、担当者に掛かる負荷が高くなります。さらに、マーケティングだけでなく、フィールドセールスなどの現場部隊にも高いスキルが求められるため、部分最適では成果が生まれにくいです。またABMは1~2人の担当者だけに押し付けても成功しにくいと言われます。営業・マーケ・カスタマーサクセスが一体となり、「この企業はこういう課題があるはずだから、こういう提案で攻めよう」という共通認識を持つ必要があります。そのうえで、誰がどのタイミングでフォローを担当するのかを明確化し、情報が滞留しないようにするのがポイントです。

    フィールドセールスの品質が低い
    いくらインサイドセールスなどでターゲットと接点を作っても、商談の場で適切に提案できる力がなければ実際に受注まで至らないのが実情です。意外とこの点が抜け落ちている企業が多く、最終的に「アポは取れたが受注に繋がらない」という壁にぶつかります。

    まとめ


    ABMが流行している背景には、BtoB商材の高度化や大企業での意思決定プロセスの複雑化などがあり、従来の“一括で大量リード獲得”の手法だけでは大きな案件を取りこぼすリスクが高まっているという現状があります。とはいえ、ABMは個別企業へのカスタマイズと粘り強い接触が不可欠で、しっかり体制を作らないと中途半端なまま頓挫してしまいがちです。

    • ターゲット選定で“誰に本当に売りたいのか”を明確にする
    • リストアップやアプローチチャネルを丁寧に選び、マルチチャネルで試行錯誤する
    • 社内連携やPDCAを回し続けて、個別企業との関係性を徐々に深める

    これらを地道に実行していけば、大手企業の部長や役員、急成長スタートアップのCXOなど、通常は時間や距離のある層とも具体的に商談を進められるようになります。難しいからこそ“できている企業が少ない”ABMで差別化を図り、高額かつ長期的な収益を見込める大手企業案件を成功させる一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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    この記事の著者

    株式会社Emooove 代表取締役

    藤澤 諒一

    神戸大学在学中に月間100万PVを誇る就活メディアを立ち上げ、上場企業を含む複数企業の採用や、旧帝/早慶上理大生を中心とする学生100名以上の就職活動を支援。大学卒業後は、新規事業開発やイノベーション創出を支援する株式会社Relicに入社。スタートアップから大企業まで企業規模を問わず、SaaSプロダクトのCPF〜PMF支援等を実施し、新規事業開発における企画/セールス/マーケティングなど様々な角度から貢献。また、クライアントへの支援に限らず、社内におけるマーケティング組織の立ち上げを推進。その後、株式会社Emooveを設立。

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  • 【永久保存版】決裁者アポ獲得チャネル7選とその特徴<シン・セールス総合研究所>

    【永久保存版】決裁者アポ獲得チャネル7選とその特徴<シン・セールス総合研究所>

    はじめに


    「大手企業の部長クラスや役員、あるいはスタートアップのCXOクラスに対して、どうアプローチすれば良いのか」。
    営業担当者やマーケティング担当者であれば、この疑問を抱いたことがある方は少なくないでしょう。そこで、本記事では決裁者アポイントを獲得するうえで注目度が高い7つのチャネルを、それぞれの特徴と合わせて紹介します。どのチャネルにもメリット・デメリットがあり、目指す市場や予算、リソース次第で最適解は異なるものの、本記事を通して「自社に合ったチャネルはどれか」を判断するヒントになれば幸いです。

    1. X


    初めに挙げるのはXです。とはいえ、決裁者層の利用が本当に多いのか疑問に思うかもしれません。実際にXはBtoC的な色合いが強いと言われてきましたが、中小企業のオーナーやスタートアップ企業のCxOなどがよく利用しており、BtoBの営業/マーケティングでも絶大な威力を発揮します。

    ただし、炎上リスクやネガティブな反応が起こりやすいという点は無視できません。多くの大手企業や保守的な担当者が「SNSの炎上リスク」を嫌うため、Xに対して腰が引けているケースもあります。そのため、Xで成果を出すためには発信内容とブランドイメージのバランスを徹底的にマネジメントする必要があるでしょう。

    また、後述するLinkedInやFacebookと違い大企業の利用は若干少ないため、中小/スタートアップへのアプローチがメインになるとご認識ください。
    ※厳密にいうと、大手企業の方も使っていることは多いが、プロフに記載したり発信している割合が低いです。ただ弊社では実際に大手企業のリード獲得も実現できております。

    一方で、DM営業を活用すると、思わぬ形でキーマンと繋がれることもあります。オープンコミュニケーションが中心と思われがちなXですが、興味を持ってくれた相手に対してDMを送ってみると、意外なほどスムーズに会話が進むケースも。Xをしっかり“攻め”に使える人材がいる場合は、十分な成果を見込めるチャネルと言えるでしょう。

    とはいえXの最大の魅力は「拡散力」です。そのためDMのみならず、投稿やバズ、導線をうまく設計して運用するのがベストになります。実際の運用方法はこちらの記事をご参照ください。

    2. Facebook


    次に取り上げるFacebookは、**本記事の中でも「2番目にアツい」**と評価できるチャネルです。XやLinkedInほどオープンではなく、友人や知人との交流をメインにクローズドに利用しているユーザーも多いものの、そこに大手企業の部長クラスや、資金調達を終えたスタートアップのCXOが潜んでいる場合があります。

    Facebookならではの強みは、実名かつ“私的なやりとり”をベースにしているため、うまく人脈を辿れば相手との距離を縮めやすい点にあります。一方、見ず知らずの人からメッセージが来ても警戒されることが多く、“友達”として繋がらないとやりとりに進みにくいというデメリットも抱えています。

    もしFacebookを主力チャネルにするのであれば、先方との共通点(趣味やコミュニティ)を見つけ、それをきっかけに自然な形で接触するのが成功率を高めるコツです。直接的なビジネス話をする前に、相手が何を求めているか、どんな活動をしているかをしっかりリサーチしながら関係を築くことで、高品質なリードに繋がりやすくなります。

    なおFacebookに関してもX同様、DMを活用したアプローチが効果的です。実際に弊社の最初の大企業のお客様はFacebook経由で獲得しました。運用方法が気になる方はこちらの記事をご参照ください。

    3. 交流会


    続いて紹介する交流会は、従来の営業でもお馴染みの手法です。既に活用されている方も多いかと思います。

    ただ高頻度で開催されている小規模の交流会は、残念ながら“優良企業”が集まるとは限りません。また、営業目的できている方が多いため、うまくトークをしなければ「とりあえず名刺を配って終わり」になりがちで、アポイント獲得に苦戦するケースもしばしばです。

    一方で、年に1回しか開催されないような大型カンファレンス、あるいは業界のトップカンファレンスなどは話が違います。そのような場には、大手企業の上層部や、成長目覚ましいスタートアップのCxOが参加している可能性が高いため、質の高い商談に繋がるチャンスがあります。弊社でも「交流会の見極め」を徹底しており、ターゲット決裁者が来そうかどうか、事前に主催者情報や登壇者リストなどを細かくチェックしています。

    交流会では“対面での第一印象”が非常に重要になるため、自己紹介の準備やプロフィール資料の持参などを怠らないことが成果を左右するポイントです。

    4. セミナー


    BtoBの世界では古典的な方法ですが、セミナーはいまだに有効なリード獲得チャネルの一つです。ただし、自社主催のセミナーを開くとなると、企画から集客、登壇準備、資料作成、当日の運営など、オペレーション工数が高額である点は否めません。さらに、ニーズが顕在化していない層も多く集まるため、結果的に“質の低いリード”が大量に溜まるリスクもあります。

    とはいえ、特定のテーマや課題に興味を持つ層を集められれば、商談化率が上がる場合もあります。特に、自社プロダクトやサービスのコンセプトをじっくり説明したいときに、セミナーは強力な武器になります。ただし「網を張る」スタイルなので、必ずしもターゲット企業が引っかかるとは限りません。広告や提携などで、狙った企業に確実にリーチできる仕組みがあれば、セミナーの効果は一気に高まるでしょう。

    5. CXOレター


    アナログな手段ながら、CXOレターも根強い支持を受けています。交流会やセミナーなどと違い、ターゲット決裁者を”狙い撃ち”できる点が魅力ですが、一方でレター1通あたり500~1,000円ほどのコストがかかるうえ、文面や封筒のデザインにこだわらないと「ただの紙切れ」として捨てられてしまうリスクがあります。

    “文面 / 同封物 / 封筒”等をどれだけ工夫できるか、そして送付後にどれだけ架電フォローを行うかで成果が大きく変わるのが特徴です。コストが高いため、リソースに余裕のある大手や、予算豊富なスタートアップが取り組みやすい手法とも言えます。

    運用方法が気になる方はこちらの記事をご参照ください。

    6. リファラル


    昔からある手法ですが、決裁者アポにおいて今でも強力なのが**リファラル(紹介)**です。既存顧客やパートナーから「知り合いの部長を紹介してもらう」形でアポを取ると、最初から一定の信頼関係があるため、受注率がぐんと高まりやすいのが最大のメリットです。

    ただし、アポ単価が10万円を超えるなど、普通に考えれば“高額”となりがちです。これは仲介料や紹介料が発生する場合が多く、資金調達が済んだスタートアップや潤沢なマーケ予算を持つ大手には向いているものの、リソースに限りがある企業には厳しい手法とも言えます。また、リファラルは自然発生的な面もあり、一度成功しても継続的にリードを増やしにくい点には注意が必要です。

    7. LinkedIn


    ここまで紹介してきたなかで、実は最も“アツい”チャネルがLinkedInです。海外のBtoB営業では当たり前のプラットフォームですが、日本ではまだ使いこなしている企業が少なく、競合が少ないというメリットがあります。とくに部長クラスやCXOレベルのユーザーが徐々に増えており、うまくハックできれば“狙った銘柄企業”の意思決定層へ直接メッセージを送ることも十分可能です。

    LinkedInで成果を出すには「プロフィールの設計」「文面のテスト」「Sales Navigatorなど有料プランの活用」が鍵を握ります。日本ではマイナーな有料ツールに「Sales Navigatorライト版」も存在し、安価で営業特化機能を使えるという情報もあります。今こそ参入して、競合が少ないうちにシェアを高めるのが賢明かもしれません。

    運用方法が気になる方はこちらの記事をご参照ください。

    まとめ


    決裁者アポイントを獲得する手段として、ここまで7つのチャネルを紹介しました。会社の規模やターゲットの属性、予算などにより“使いやすいチャネル”は変わってきますが、複数を組み合わせることで相乗効果を狙うのが理想的です。

    1. X:拡散力が魅力だが、炎上リスクに留意
    2. Facebook:私的SNSだが、上手く繋がれば超高品質アポにつながる
    3. 交流会:小規模は微妙だが、大型カンファレンスは大手やCXOが集まるチャンス
    4. セミナー:BtoBの定番だがオペレーションや集客コストが高い。網を張るイメージで運要素強め
    5. CXOレター:実物のインパクト大。ただ1通あたりのコストが割と高い
    6. リファラル:受注率は高いがアポ単価も高額になりがち
    7. LinkedIn:営業特化の機能と狙い撃ちが可能。今最もアツい

    多くの企業は、これらのうち2~3チャネルをメインに据え、それらが得意な人材やチームを育成しています。何が自社に合うのかを見極めるには、まずは小さくテストし、手応えを掴んだうえで本格展開するステップが重要です。社内のリソースやモチベーションをうまく割り振りつつ、会いたい企業/人に会える営業を実現してみてください。

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    株式会社Emooove 代表取締役

    藤澤 諒一

    神戸大学在学中に月間100万PVを誇る就活メディアを立ち上げ、上場企業を含む複数企業の採用や、旧帝/早慶上理大生を中心とする学生100名以上の就職活動を支援。大学卒業後は、新規事業開発やイノベーション創出を支援する株式会社Relicに入社。スタートアップから大企業まで企業規模を問わず、SaaSプロダクトのCPF〜PMF支援等を実施し、新規事業開発における企画/セールス/マーケティングなど様々な角度から貢献。また、クライアントへの支援に限らず、社内におけるマーケティング組織の立ち上げを推進。その後、株式会社Emooveを設立。

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  • エンタープライズ(大企業)決裁者アポイントを“量産”する方法<シン・セールス総合研究所>

    エンタープライズ(大企業)決裁者アポイントを“量産”する方法<シン・セールス総合研究所>

    はじめに


    大手企業の役員や部長クラス、急成長スタートアップのCXOクラスにアプローチするのは、営業担当としては大きなチャレンジです。これまでは「電話が繋がらない」「問い合わせを待っても来ない」といった壁が多く、なかなか接触すらままならないと考えられてきました。しかし、近年はSNSの普及やアウトバウンドの高度化により、“会えない層”へのアプローチを比較的スムーズに行える環境が整いつつあります。

    本記事では、エンタープライズ決裁者のアポイントを獲得するために効果があるとされるアウトバウンド施策の一覧をフラットに概観しつつ、今の時代に適した“最も効果的なチャネル”についてお伝えします。また、「成果を出す上で重要な3大要素」を中心に、実際に運用していく際のポイントを詳しく見ていきましょう。

    アウトバウンド施策とその評価一覧


    まず、エンタープライズ企業の決裁者を狙うアウトバウンド施策には、さまざまな選択肢があります。代表的なものを列挙すると、次のようになります。

    1. 電話(コール)
      • + 番号さえあればすぐ始めることができ、なおかつ行動量も自由に調整可能。
      • - 大企業ほど受付突破のハードルが高く、また担当者が出てくる可能性も高く決裁者に到達する難易度は非常に高い
    2. フォーム送信/メール
      • + コストが比較的安く、短時間で大量に送付できる
      • - 返事率が低くなりがちで、なおかつ「大手決裁者の目に留まるか」は未知数
    3. 手紙/DM(紙ベース)
      • + ターゲット決裁者にダイレクトで送付することが可能かつ、一定印象に残るというメリットもある
      • - 1通あたりの単価が500~1,000円ほどしてコストが高い他、受付に捨てられたり届いたとしても封を開けてもらえないリスクもある
    4. 交流会・カンファレンス
      • + 直接対面で名刺交換や雑談ができるので、一気に信頼を築ける可能性がある。また比較的低コストで検証できる。
      • - 小規模交流会だと大手決裁者が来ないことも多く、会の見極めが重要。ターゲットに接触できるかは運要素が強い。
    5. ビジネスマッチングサービス
      • + 紹介を受けられる場合、比較的信用がある状態から関係構築をスタートできる
      • - 大手企業の決裁者となるとアポ単価10万円以上することもあり、非常にコストがかかる
    6. Facebook
      • + 大手決裁者でもDMで直接やり取りが可能
      • - クローズドなプラットフォームのため、既存の知り合いとしかやり取りしない人も一定数いる
    7. X
      • + 拡散力を活かし多くの決裁者にリーチ可能
      • - 大手企業の役員が積極的に使っていないケースも
    8. LinkedIn
      • + ビジネス特化型SNSであり、大手の部長・CXOクラスが増加中。営業機能も充実
      • - 営業に特化した機能はUIが英語など一部ハードルがある

    これらを総合的に見た場合、「コスト」「到達率」「ターゲットとの親和性」といった観点で、現状もっとも効果が高いのがLinkedInという結論に至ることが多いです。とはいえ、それだけで自社にフィットするかどうかは分からないため、自社にあった施策を選択するのがベストです。以下ではLinkedInを活用してエンタープライズ(大企業)決裁者のアポイントを獲得していく方法について解説していきます。

    そもそもLinkedInとは?


    SNSの中でもビジネス特化型として急速に注目を集めているのがLinkedInです。もともと海外で誕生し、採用やネットワーキング目的で広く使われていましたが、国内でもユーザー数が増加傾向にあります。実際、富士通が全社導入をしたり、KIRINが採用で活用を始めたりと、様々な超一流大手企業が利用を進めています。以前は私のアカウントにOracleから営業DMがきたこともありました。とりわけ大手企業のキーマンやスタートアップのCXOなど、従来であれば「どう探せばいいか分からない」層がプロフィールを充実させており、探し当てたうえで直接メッセージを送ることが可能です。

    日本のSNS文化は匿名性が強い側面がありましたが、LinkedInは実名主義のため“ビジネスにおける自分”を堂々と打ち出しやすいのが特徴です。結果として、海外だけでなく日本国内でも、大手企業がインフラやツールとして導入を進めているケースもあり、部長や課長クラスが日常的にアクセスする場になりつつあります。

    LinkedIn Sales Navigatorとは?


    LinkedInには無料アカウントに加えて、有料のSales Navigatorという営業支援機能があります(月9,000円ほど)。具体的には、詳細なフィルタリングを用いたターゲット検索、見込み客リストの管理、共通の知り合いを可視化するといった便利機能が多数搭載されており、営業活動に大きなアドバンテージをもたらします。

    • 企業規模・従業員数・所在地・業種・役職など、複数の条件を組み合わせてアカウントをリストアップ可能
    • リスト管理機能で、ターゲットを複数グループに分けながらコミュニケーションを進められる
    • その他にも、共通の知り合いの可視化機能、ターゲットの投稿管理機能、転職履歴の確認機能など、営業に使える様々な機能が搭載されている

    現時点(2025/1)ではUIが英語で若干使いにくい点や、機能を使いこなすための学習コストが一定必要といったデメリットはあるものの、BtoB営業においては現状最も強力なSNS連携ツールの一つと言えます。

    成果を出す上で重要な3大要素


    リストアップ・文面・プロフィールが鍵

    LinkedIn Sales Navigatorを活用した営業活動の結果を大きく左右するのは「リストアップ」「文面」「プロフィール」の3つです。それぞれを疎かにすると、せっかく良いチャネルを使っていても成果が出にくくなります。

    1. リストアップ

    まずしっかり「どの企業・どの役職を狙うか」を策定します。大企業の場合、部署名や役職が細かく分かれており、どこが予算を持っているか不透明なことも少なくありません。情報システム部・経営企画部・マーケティング部など、製品・サービスの特性に合わせて最も導入可能性が高いターゲットを割り出しましょう。

    さらに、既存顧客の契約履歴や過去の商談データなどを活用して「どんな業種のどんな特徴を持つ企業が契約しやすいか」を洗い出すのも有効です。外部リストや調達リストを組み合わせれば、かなり精度の高いアプローチ先が見えてきます。

    その上でSales Navigator上でターゲットの業種・規模・地域などのセグメント条件を明確化し、条件を絞り込みリストアップします。

    またSales Navigatorでリストアップができない場合は、外部でリストを作成し、手動で検索してリストアップします。この外部リスト活用が重要で、例えば弊社ではニーズ顕在度を捉えるために求人媒体出稿企業リストや、資金調達プレスリリースを配信しているスタートアップリストを作成し、その企業名をLinkedIn上で検索してターゲットアカウントをリストアップするという取り組みで成果創出した事例がありました。

    弊社の場合、「営業職を募集している=営業に困っている」「資金調達している=これから顧客獲得に投資をする」と仮定し、営業職を募集している企業や資金調達した企業をリストアップしてアプローチすることでアプローチの確度が上がった事例です。

    2. 文面

    企業や役職によってアプローチ手段は変わりますが、いずれにしても最初のメッセージがダメだと、その先に進めません。文面を作る際のポイントを以下に挙げます。

    • Why you now / Why me を端的に示す
      「なぜ今、相手に連絡しているのか」と「なぜ自分(または自社)とコミュニケーションする意義があるのか」は最優先で伝わるように書く。
    • 短くまとめる
      決裁者クラスは総じて忙しく、多くの営業メッセージを日々受け取っています。そこで「なぜ連絡をくれたのか」「自分にどんなメリットがあるのか」を最初の数行で把握できるよう、文面はコンパクトにまとめるのが大原則です。数行~数十行以内で完結させ、詳細は返信後に提示するイメージが良いです。
    • ハードルを下げる
      返信しやすい雰囲気を作るために、「ぜひ一度ご意見をお聞かせいただきたく……」「短時間でもお話をお伺いできれば幸いです」といったフレーズでハードルを下げておくと、相手が応じやすくなります。相手が返信することで「会話を続ける理由」が明確になれば、アポにつながる可能性が高まるでしょう。

    文面を作る際は、相手の業界やニーズに寄り添う仕掛けも重要です。たとえば相手が製造業なら「製造現場での人手不足をどう解消するか」「海外拠点とのやり取りにどんな課題があるか」に言及すると、そのまま会話の導入になる可能性が高まります。

    3. プロフィール

    特にSNSを活用する場合、「どんな人が送ってきているのか」がプロフで分からないと、相手は「怪しい」と感じるかもしれません。名刺交換においても同様で、結局は担当者個人のバックグラウンドや専門性が大きく信頼を左右します。

    たとえば

    • 清潔感のあるアイコンにする
    • ヘッダー画像を会社のサービス概要や実績が分かるデザインにする
    • ヘッドラインでは「○○年からBtoBの営業を担当。製造業向けに□□を提案してきました」など具体的に書く
    • 極力経歴は開示し、透明性を担保する
    • 自己紹介欄には”想いやストーリー”を盛り込むことで、人間味を出したり共感を生む

    シミュレーション例

    前提、LinkedInではつながりがあるアカウントにメッセージを送れます。仮に申請を800件送った場合(LinkedInでは週に200申請=月に800申請が可能です)、承認率を20%とすると、160件が“つながり”になり、そのうち3~4%がアポイントにつながると結果的には月に4〜7件ほどのアポイントが取れる計算になります。仮に「大手決裁者クラスとのアポが月に4〜7件取れる」状況は十分価値が高いでしょう。ちなみにこの数値感は弊社の複数事例の平均値になるため、一定の信憑性があるかと思います(もちろん営業活動なので絶対ではございません)。

    またSales Navigatorを利用している場合、月に50件のInmailを無料で送信できます。Inmailとはつながりがないアカウントにもメッセージが送れるかつ、メール通知も送信できる機能で、こちらを有効活用することでも成果を伸ばしていくことが可能になります。

    まとめ


    エンタープライズ企業の決裁者とアポイントを取るのは、一見ハードルが高いと思われがちです。しかし実際には、リストアップ・文面・プロフィールという3大要素をしっかり作り込み、複数のアウトバウンド施策を併用すれば“会えない”と感じていた層とも接触が可能になり得ます。

    • リストアップで自社に合うターゲットを厳選し、
    • 文面で相手に「返信するメリット」と「低いハードル」を提示し、
    • プロフィールで担当者自身の信頼性を示す、
    • そしてフォローを粘り強く継続する。

    これらのプロセスを回し続けることで、従来なら入れなかった大手企業の役員クラスやスタートアップのCXO層にも、“量産”と言えるくらいの商談機会を作ることができます。特にSNSなどの新しいアウトバウンド方法が進化している今、結論としてはLinkedInを中心としたアウトバウンドが、最もバランス良く有効と考えられます。今のうちに運用を確立し、競合が追いつく前に決裁者との繋がりを押さえておきましょう。

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    この記事の著者

    株式会社Emooove 代表取締役

    藤澤 諒一

    神戸大学在学中に月間100万PVを誇る就活メディアを立ち上げ、上場企業を含む複数企業の採用や、旧帝/早慶上理大生を中心とする学生100名以上の就職活動を支援。大学卒業後は、新規事業開発やイノベーション創出を支援する株式会社Relicに入社。スタートアップから大企業まで企業規模を問わず、SaaSプロダクトのCPF〜PMF支援等を実施し、新規事業開発における企画/セールス/マーケティングなど様々な角度から貢献。また、クライアントへの支援に限らず、社内におけるマーケティング組織の立ち上げを推進。その後、株式会社Emooveを設立。

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