エグゼクティブサマリー
- 今回の検証において、東京都への送付は、それ以外の地域と比較して高いアポイント獲得率(CVR)を示した
- 大阪や愛知といった大都市圏を含む「その他地域」では、東京と比較して反応率が低く留まる傾向が見られた
- CxOレターにおいては「まず東京から着手する」ことが効率的であり、地方展開には「他県から送付する違和感」を払拭する工夫(高度なパーソナライズ等)が必要であると推察される
調査背景
決裁者へのダイレクトアプローチである「CxOレター(手紙営業)」において、リスト作成は成果を左右する重要因子である。通常、業種や売上規模といった条件が重視されるが、「地域(本社所在地)」による反応率の差異については、定量的なデータがあまり公開されていない。
- 地方企業のほうが競合が少なく、手紙が目立つのではないか?
- やはり本社機能が集中する東京が効率的なのか?
こうした疑問に対し、シン・セールス総合研究所では、過去の送付実績データをもとに、エリアごとの送付数とアポイント獲得数の関係性を分析した。本レポートでは、得られたデータから読み取れる「東京都」と「それ以外の地域」の差異について報告する。
調査概要
実際にアポイント獲得に至ったケースを抽出し、エリアごとの獲得効率を算出した。

検証結果
データを集計・比較した結果、今回のアポイント発生は「東京都」に集中する結果となった。
1. 【東京都 vs それ以外】の比較
最も送付数の多い「東京都」と、それ以外の46道府県(大阪・愛知等の大都市圏も含む)を比較した数値は以下の通りである。

今回のデータ上では、東京都内への送付は、他地域への送付と比較して高い獲得効率(約5倍の差)となった。4,121件の送付母数において明確な差が出ていることから、偶然の誤差ではなく、エリアによる反応傾向の違いがあると考えられる。
母数や商材による影響も考慮する必要があるが、同じリソースを投下する場合、東京都内をターゲットにする方が、成果に繋がりやすい可能性が示唆されている。
2. 地方大都市圏について
「地方であっても、大都市なら東京と同様の反応が得られるのではないか」という仮説についても確認を行った。しかし、今回の検証範囲においては、大阪・愛知・福岡などの主要都市圏であっても、東京ほどの反応率は見られなかった。
都市の規模にかかわらず、「東京」と「それ以外」では、アプローチに対する反応傾向に違いがあることがうかがえる。
考察
なぜ、地域による反応差が生じたのか。定性的な側面も含め、以下の要因が考えられる。
差出人と受取人の「物理的・心理的な距離」
今回の検証において、手紙はすべて「東京都内」から発送されたものであった。
地方企業からすれば、わざわざ遠方の東京から手紙が届くことに対し、「なぜうちなのか?」「何か裏があるのではないか」といった警戒心や、心理的な距離感が生じている可能性がある。地場の企業同士のやり取りと比較して、アポイントへのハードルが高くなっていることが推測される。
提案商材と地域課題の親和性
今回提案された商材に対する「課題の緊急度」や「導入ニーズ」が、競争環境の激しい東京エリアの企業において特に高かった可能性がある。 「文化の違い」というよりも、そのエリアの企業が今現在直面している経営課題と、手紙で提案されたソリューションの合致度が、エリアによって異なっていたのではないかと推察される。
営業実務への活用
今回の分析結果から導き出される、CxOレターのアクションプランは以下の通りである。
1. 「東京」から着手するのが定石
リソースが限られている場合、まずは東京都内の企業をターゲットリストの最優先順位に据えるのが合理的である。今回のデータが示す通り、投資対効果の観点から、まずは確実性の高い東京エリアで検証サイクルを回すことが推奨される。
2. 地方攻略には「Why You(なぜ貴社か)」の強化を
東京から地方へアプローチする場合、テンプレート的な文面では「なぜわざわざ東京から手紙を?」という不信感を払拭しきれない恐れがある。
これを突破するには、相手企業のIR情報や直近のニュース、あるいは担当者の実名・所属部署などの「人物情報」まで踏み込んだパーソナライズが不可欠となる。「貴社の〇〇という動きを拝見し、今連絡する必要があった(Why Now)」という必然性を文面に落とし込む高度なライティングが求められるだろう。
3. フォローコールとの組み合わせ
手紙単体での突破が難しい地方エリアにおいては、手紙を「ドアノックツール」として割り切り、フォローコールをセットで行うことも有効な手段となり得る。
「先日お送りした手紙の件で」と切り出すことで、受付突破率を高めつつ、手紙の文面だけでは伝えきれない熱意や文脈を口頭で補足することで、心理的な距離を縮める効果が期待できる。
結論
今回の検証において、CxOレターの反応率は地域によって差があり、現状のデータでは「東京都」が高いパフォーマンスを示す結果となった。まずは効率の良い東京エリアから着手し、知見を蓄積した上で地方エリアへ展開するというステップが、再現性を高める一つの方法と言える。
シン・セールス総合研究所では、今後もデータ数を蓄積し、より精度の高い検証・発信を続けていく。

