次世代のセールステックツール、LinkedIn Sales Navigator(リンクトインセールスナビゲーター)とは

はじめに

近年、BtoB領域では電話やメール、フォーム営業といった従来のアウトバウンドに加え、SNSを活用した新しいセールス手法が存在感を増しています。その代表格が「LinkedIn」です。実名でビジネス目的のネットワーキングを行うSNSとして世界中で利用されており、日本国内でもユーザー数が約400万人を突破。大手企業の部長クラスや海外企業の役員と繋がりやすいプラットフォームとして注目されています。

そうしたLinkedInに搭載された有料オプションが「LinkedIn Sales Navigator」。本記事では、このツールが「次世代のセールステックツール」と呼ばれる理由、実際の使い方や料金体系、独自の特徴などをまとめて紹介します。従来のSNS利用とは一味違う高度な営業支援機能を、どう自社の商談獲得に結びつけていくのか考えるヒントにしてみてください。

LinkedIn Sales Navigatorの概要

ビジネスSNSと連動したセールス特化ツール

LinkedIn自体は、世界で8億人以上、日本では約400万人が利用すると言われるビジネス特化型SNSです。実名主義で、ユーザーは職務経歴やスキル、実績を公開しながらネットワーキングを行います。Sales Navigatorは、このLinkedIn上で「営業活動をより効率化する」ために開発された有料サービスで、検索やリスト管理など、ビジネスSNSにはない高度な機能を利用できます。

海外や大手企業との取引に強み

ユーザーの多くが海外企業や大手企業の担当者で、実名・役職を明示して利用しているため、営業担当は「従業員規模や業種、部署、役職」といった条件でピンポイントに相手を探し当てることができます。さらに、海外ではLinkedInが名刺代わりに使われるほど一般化しており、商談のチャンスが広がりやすい点も特徴的です。

使い方のポイント

1. 高度な検索・フィルタリング

LinkedIn Sales Navigatorの肝となるのが詳細な検索・フィルタリング機能です。会社規模や業種、拠点地域、役職などを組み合わせてターゲットを絞り込み、該当するユーザーやアカウントを一括でリスト化できます。たとえば「従業員500名以上のIT企業で、役職が部長または役員クラス」という条件を設定すれば、該当者だけを瞬時に表示してくれます。

2. リスト管理とおすすめ機能

検索で見つけた企業やユーザーを保存しておき、独自のリストとして管理することが可能です。さらにLinkedIn側が「この人も興味を持ちそうだ」といったおすすめユーザーを提案してくれるため、想定外のリードを発掘できるケースも。従来型の営業支援システム(CRMなど)とは異なり、SNSに接続している分、更新情報がリアルタイムに反映されるのが大きな強みです。

3. InMailで直接コンタクト

通常のLinkedInでは、“1次のつながり”にならないとメッセージを直接送れません。しかしSales Navigatorの有料機能であるInMailを使えば、2次・3次のユーザーにもダイレクトにメッセージを送付できます。これによって、会ったことのない大手企業の担当者に対しても、直接「一度お話しできませんか?」と切り出すことが可能になります。

ただし、InMailには送信上限があるため乱用しにくい半面、一通あたりの反応率が高めというメリットも。相手のプロフィールや企業情報をしっかり読んで、個別にカスタマイズしたメッセージを送るのが成功のコツです

料金プランについて

LinkedIn Sales Navigatorには複数のプランが存在し、**月額9,000円前後~**が目安とされます。大まかに分けると、個人向けのProfessionalプラン、チームで使うTeamプラン、さらに大規模企業向けのEnterpriseプランがあり、それぞれInMailの送信数や管理機能などが段階的に拡張されます。

  • Professionalプラン:個人営業担当がターゲットを検索し、InMailを月に数十通送る程度であれば十分
  • Teamプラン:社内でリード情報を共有しながら使う。リスト管理やコラボレーション機能が充実
  • Enterpriseプラン:全社導入や高度なデータ連携を行う場合に選択される

無料トライアル期間を設ける場合もあるため、導入前に試験的に活用してフィット感を確かめる企業も少なくありません。

主要な特徴

強力なフィルタ検索

前述のとおり、従業員数、業種、地域、役職、年次など細かい条件設定が可能です。たとえば「日本国内に支社を持つ米国系IT企業で、部長職以上を狙う」といったリストを一気に生成できます。

アカウント管理

ターゲットアカウントを一覧化し、アプローチ状況を管理するなどできます。またチームプラン以上であればチーム/会社全体での管理が可能になり、新規開拓をより効率的に加速することが可能です。

InMailを活用した直接メッセージ

先ほど述べたように、2次や3次の繋がりにも直接メッセージを送れるInMailが、Sales Navigatorの強力な差別化ポイントです。通常のSNSだと「フォローを承認してもらわないとメッセージが届かない」問題があるため、営業活動では大きな時間ロスや機会損失を招きがち。InMailによって「まだ繋がりのない相手」へのハードルが一気に下がります。

情報更新がスピーディ

SNSがベースになっている分、担当者が転職・昇進したり、企業が合併・リストラを発表したりといった動きがあると、プロフィールや企業情報がすぐに更新される傾向があります。したがってリストの鮮度を保ちやすく、従来の営業リスト管理が抱えていた「いつの間にか情報が古くなって使えない」という問題を軽減できるのです。

どんな企業・担当者に向いているか

LinkedIn全体がエンタープライズ企業や海外拠点を持つ組織のユーザーが多いことから、大手・グローバルな企業をターゲットとする営業担当と相性が良いと言われます。特に「大手企業やCXOクラスのキーマンに直接アプローチしたい」「国内だけでなく海外企業とも接点を持ちたい」という場合、Sales Navigatorを使わない手はありません。

一方で「国内中小企業を多量に開拓する」目的の場合、電話や展示会など他のチャネルのほうが効率的かもしれません。あくまでもSales Navigatorは、役職クラスが実名で活動している国際的・大手の市場を狙う際に真価を発揮するツールと考えられます。

まとめ

「次世代のセールステックツール」として注目されるLinkedIn Sales Navigatorは、ビジネスSNSであるLinkedInと連動し、高度な検索やInMailによる直接メッセージ送付といった機能を提供する有料サービスです。海外ではすでに営業・採用の必須ツールになっている企業も多く、日本国内でも大手企業の意思決定者に効率的にアプローチできる手段として人気が高まりつつあります。

  • 概要:LinkedIn上で営業活動を最適化する有料プラン。詳細な検索・リスト管理機能が強力
  • 使い方:ターゲットを絞り込み、InMailを活用してダイレクトメッセージを送ったり、リード推薦機能で追加の見込み客を発掘したりする
  • 料金:ProfessionalプランやTeamプラン、Enterpriseプランなど複数のグレードがあり、月額9,000円前後~が目安
  • 特徴:2次・3次の繋がりにもアプローチ可能、情報更新が早くリスト鮮度を保ちやすい

最終的に「Sales Navigatorで大量のリードを獲得したい」「海外本社を持つ大企業の役員クラスに直アプローチしたい」という明確なゴールを持つ営業担当にとって、LinkedIn Sales Navigatorは絶大な武器となるでしょう。反対に、国内中小企業を中心に数を稼ぎたい場合や、まだSNS利用に慣れていないチームには導入ハードルがあるかもしれません。

今後、ユーザー数400万人を突破した日本国内のLinkedInがどこまで広がり、Sales Navigatorがどの程度普及するか注目が集まる中で、早期に導入・運用ノウハウを蓄えた企業が“大手企業やグローバル企業への営業”で先行者メリットを得ることは大いにあり得ます。新時代のセールス手法として、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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