エグゼクティブサマリー
- CxOレター(手紙営業)の送付実績をもとに、通常期と長期休暇の影響を比較検証した。
- 通常期(2025年8〜11月)の獲得率は1.81%であったのに対し、長期休暇(12月末送付・休暇中から休暇明けの繁忙期に到着想定)における飲食・宿泊・レジャー業界への送付では0.25%にとどまった。
- 年末年始の挨拶状に埋もれるリスクに加え、アプローチがターゲット業界固有の「繁忙期」と重なると、決裁者の対応優先度が下がり、反応率が低下する可能性が示唆された。
調査背景
CxOレターは、決裁者のデスクに直接物理的なアプローチができる強力なチャネルであるが、「いつ届き、いつ読まれるか」というタイミングの設計が重要となる。
特に年末年始や大型連休の期間は、各社からの時候の挨拶状などが大量に届く時期である。さらに、アプローチ先の業界によってはその時期自体が「最大の繁忙期」と重なるケースも少なくない。
そこでシン・セールス総合研究所では、到着・閲覧のタイミングが長期休暇およびターゲット業界の繁忙期と重なることが、アポイント獲得率にどのような影響を与えるかを検証した。
調査概要
株式会社EmoooveによるCxOレターの送付実績に基づき、以下の条件で比較・分析を行った。
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※通常期のデータは、別途公開している「CxOレター(手紙営業)における「地域別」反応率の検証」で用いた実績値を参照している。
分析結果
通常期と長期休暇・業界繁忙期の数値比較
通常期における獲得率と、長期休暇かつ業界繁忙期に飲食・宿泊・レジャー業界へアプローチした場合の獲得率を比較した結果は以下の通りである。

- 通常期(8〜11月):4,421件送付 → 80件獲得 → アポイント獲得率 1.81%(通常営業期間内に到着・確認)
- 長期休暇・繁忙期(12/27送付):飲食・宿泊・レジャー業界400件送付 → 1件獲得 → アポイント獲得率 0.25%(年末年始の休暇中〜繁忙期に到着想定)
通常期に1.81%のアポイント獲得率を記録していた手法が、ターゲット業界の繁忙期と長期休暇が重なるタイミングでは0.25%にとどまった。対象の構成が異なるため単純比較はできないものの、送付タイミングが反応率に一定の影響を与えている可能性がうかがえる。
なお、通常期のデータは同期間における送付全体の実績であり、長期休暇中に送付した業界繁忙期のデータは飲食・宿泊・レジャー業界に限定されている。この点には留意が必要だが、通常であれば一定の成果が期待できる手法において、時期とターゲットの繁忙期が重なった場合にここまで反応が低下するという傾向は、実務上の示唆に富むものといえる。
考察
通常期に一定の成果が出ている手法に対し、長期休暇かつターゲット業界の繁忙期というタイミングで反応が大きく低下した要因として、以下の2点が推測される。
1. 長期休暇による郵便物の集中
12月末に投函されたレターは、長期休暇中から休暇明けにかけて決裁者の元に届く。この時期、デスクには年賀状や挨拶状など他社からの郵便物が大量に積み上がっている。CxOレターが他の郵便物に埋もれ、開封・確認されなかった可能性が考えられる。
2. 業界固有の「繁忙期」による優先度低下
飲食・宿泊・レジャー業界にとって、年末年始は年間最大の「繁忙期」である。現場のオペレーション対応が最優先され、決裁者においても外部からの新規提案(レター)を検討する心理的・時間的余裕が失われ、対応優先度が下がった可能性が考えられる。
営業実務への活用
1. 「業界カレンダー」の把握と送付設計
自社のスケジュールだけでなく、ターゲット業界の「繁忙期・閑散期」を事前に把握することが重要と考えられる。飲食業への年末アプローチを避ける、あるいは人事部門宛てであれば春先の労務繁忙期を避けるなど、業界特有の事情に配慮した設計がアプローチ精度の向上に寄与する可能性がある。
2. 長期休暇の「前後」を考慮したタイミング調整
長期休暇中にレターが届くスケジュール(直前投函)は、郵便物の増加や休暇明けの対応に追われるため反応率が落ちやすい。さらに、長期休暇の「直後」も、溜まった社内外の連絡対応や、業界によっては繁忙期の事後処理が続く可能性がある。
こうした時期は無理に投函を急がず、業務が十分に落ち着き始めるタイミング(例:1月中旬以降など)に到着・閲覧されるようスケジュールをシフトさせることが有効であると考えられる。
結論
CxOレターにおいて、ターゲットの「繁忙期」や長期休暇に伴う「郵便物の集中」を考慮しないアプローチは、コストとリストの浪費を招くリスクがあると考えられる。通常期に1.81%の獲得率を記録していた手法が、繁忙期のタイミングでは0.25%にとどまったという結果からは、相手の状況を想像し、最もメッセージを受け取りやすいタイミングを見極めて到着時期を設計することの重要性が示唆された。
シン・セールス総合研究所では、今後も自社実践によるデータ検証を蓄積し、客観的でより精度の高い情報の発信を続けていく。

