LinkedInアウトバウンド営業における「リマインドDM」の有効性 —— CxOレイヤーへの再アプローチがアポイント獲得率に与える影響

LinkedInアウトバウンド営業における「リマインドDM」の有効性 —— CxOレイヤーへの再アプローチがアポイント獲得率に与える影響

LinkedInアウトバウンド営業における「リマインドDM」の有効性 —— CxOレイヤーへの再アプローチがアポイント獲得率に与える影響
目次

エグゼクティブサマリー

  • 今回の検証において獲得した9件のアポイントのうち、6件(約67%)がリマインドDMを起点として発生したものであった
  • リマインドDMを実施しなかった場合、アポイント獲得率は6.6%から約2.2%まで低下していた計算となり、リマインド施策がアポイント獲得率に大きく寄与した可能性が示唆された
  • 初回DMとは異なる訴求軸の追加や、返信に至るハードルの引き下げといったリマインド文面の工夫が、初回で反応がなかった層からの返信獲得に繋がったとみられる

調査背景

LinkedInを活用したBtoBアウトバウンド営業において、DMの「送付」そのものに注目が集まりがちである。しかし、現場では「送ったが反応がなかった相手に、もう一度アプローチすべきか」という判断に悩むケースが少なくない。

  • 一度無視されたのに再度送ると、しつこい印象を与えるのではないか?
  • リマインドを送ることで、逆にブロックされるリスクはないのか?
  • そもそも、リマインドで本当にアポイントは取れるのか?

こうした疑問は多くの営業現場で共有されているにもかかわらず、リマインドDMの効果を定量的に示したデータはほとんど公開されていない。

そこでシン・セールス総合研究所では、LinkedInでのDM施策における「リマインドDM」の実施有無がアポイント獲得に与える影響を分析した。本レポートでは、CxOレイヤーへのアプローチにおいて、リマインドDMがどのような役割を果たしたかを報告する。

調査概要

1. 検証条件

  • 対象チャネル:LinkedIn
  • 対象業界:IT領域。具体的には、LLM開発企業、AIソリューション企業、AD/ADAS関連企業、AI創薬企業、MI関連企業など
  • 商材:GPUクラウドサービス
  • DM送付総数:137件(IT領域のスタートアップ企業のCxOレイヤーを対象)
  • DM内容:各企業の事業内容や課題に合わせてパーソナライズしたメッセージを送付
  • リマインドDM:初回DMに対して反応がなかった相手に対し、追加情報や別の訴求軸を盛り込んだフォローメッセージを送付

なお、本検証は実務環境下で実施されたものであり、タイミングやDM文面以外の要因が完全に排除されているわけではない点には留意が必要である。また、検証テーマごとに抽出条件が異なるため、他レポートと母数(N数)は必ずしも一致しない。

2. 検証群の定義

本レポートでは、上記137件のDM送付から獲得した9件のアポイントを対象に、アポイント獲得に至った経路を「初回DM」と「リマインドDM」に分類して分析した。

  • 初回DMからのアポイント:初回送付時のDMに対して直接返信があり、アポイントに至ったケース
  • リマインドDMからのアポイント:初回DMに反応がなかった相手に対し、リマインドDMを送付した結果、返信がありアポイントに至ったケース

検証結果

データを分析した結果、アポイント獲得の約3分の2が、リマインドDMを起点として発生していた傾向が確認された。

1. 初回DM vs リマインドDMの内訳

獲得した9件のアポイントを、獲得経路別に分類した結果は以下の通りである。

1. 初回DM vs リマインドDMの内訳

2. リマインド有無によるアポイント獲得率の差異

仮にリマインドDMを実施しなかった場合のアポイント獲得率を算出すると、以下のような差が見られた。

2. リマインド有無によるアポイント獲得率の差異

リマインドDMを実施したことにより、アポイント獲得率は約3.0倍に向上した計算となる。サンプル数に限りはあるものの、リマインド施策がLinkedInでのDMにおけるアポイント獲得に大きく寄与した可能性がうかがえる。

3. リマインドDMで獲得したアポイントの特徴

リマインドDMから獲得した6件のアポイントには、以下のような共通する傾向が見られた。

  • 獲得したアポイントはいずれもCxOレイヤーもしくはそれに準ずる経営幹部からのものであった
  • 初回DMでは反応がなかったにもかかわらず、リマインドDMで追加情報や別角度の訴求を提示したことで返信に至ったケースが含まれていた

考察

なぜ、リマインドDMがアポイント獲得に寄与したのか。定性的な側面も含め、以下の要因が考えられる。

初回DMの「見落とし」や「後回し」をカバーする効果

CxOレイヤーは日常的に大量のメッセージを受け取っている。初回DMが「目に留まらなかった」「読んだが後で返信しようと思い忘れた」というケースは少なくないと推測される。リマインドDMは、こうした「機会損失」を回収する役割を果たしている可能性がある。

初回DMに反応がなかったことは、必ずしも「関心がない」ことを意味しない。タイミングや業務の繁忙度によって見送られただけのケースが一定数含まれていると考えられ、リマインドDMがその層を拾い上げる機能を持っていたと推察される。

訴求軸の追加による「刺さるポイント」の拡大

今回のリマインドDMでは、初回と同じ文面をそのまま再送するのではなく、追加情報や別の訴求軸を盛り込んだメッセージを送付していた。

初回DMでは響かなかった相手に対して、異なる角度からの価値提案を行うことで、新たな関心を喚起できた可能性がある。「同じ話の繰り返し」ではなく「新しい情報の提供」として受け取られたことが、返信に繋がった要因の一つと考えられる。

「複数回の接点」が伝える本気度

今回の施策では初回DMの時点からパーソナライズした文面を送付しているが、受け手の視点では、1回きりのDMだけでは「多数に送っている営業メッセージの一つ」と映る可能性がある。どれほど文面が作り込まれていても、単発の接触では送り手の本気度が伝わりにくい側面がある。

一方で、リマインドDMという2回目の接点を丁寧に設けること自体が、「本当に自分たちに向けて案内してくれている」という認識を醸成する効果を持つ可能性がある。初回で終わらず、追加の情報を添えて再度アプローチするという行為そのものが、個別対応の姿勢を裏付けるシグナルとなり、CxOレイヤーの返信意欲を高めた可能性が考えられる。

営業実務への活用

今回の分析結果から導き出される、LinkedInアウトバウンド営業施策のアクションプランは以下の通りである。

1. リマインドDMを「標準オペレーション」に組み込む

今回の検証では、アポイントの約3分の2がリマインドDMから生まれている。初回DMを送って反応がなかった場合、そこで終了するのではなく、一定期間を空けてリマインドDMを送付することを、LinkedInアウトバウンド営業の標準的なオペレーションとして組み込むことが推奨される。

「初回DMで反応がない=見込みなし」と判断するのは早い可能性があり、リマインドを実施しないことは、獲得可能なアポイントの3分の2近くを取りこぼしている恐れがある。

2. リマインドDMでは「別の訴求軸」を用意する

リマインドDMの効果を高めるためには、初回DMの単純な再送ではなく、以下のような工夫を行うことが有効と考えられる。

  • 初回DMでは触れなかった追加情報や事例を提示する
  • 相手企業の直近のニュースやプレスリリースに言及し、新たな文脈を作る
  • 返信のハードルを下げる表現を盛り込む(「情報提供のみ」「今後の選択肢の一つとして」など)

初回DMとリマインドDMで訴求軸を変えることで、「同じ営業メッセージの繰り返し」ではなく「自社にとって有益な新情報の提供」として受け取られる可能性が高まる。

3. リマインドDMでも初回と同等の「パーソナライズ品質」を維持する

初回DMと同様に、リマインドDMにおいてもパーソナライズの品質を維持することが重要と考えられる。一度反応がなかった相手に再度アプローチする以上、「なぜもう一度連絡しているのか」という必然性を文面に落とし込むことが求められるだろう。

初回DMで行ったパーソナライズに加え、直近の企業動向や新たに得られた情報を反映した文面にすることで、「継続的に自社のことを見てくれている」という印象を与え、返信に繋がりやすくなると考えられる。リマインドだからといって文面の質を落としてしまうと、初回DMで築いた個別対応の印象を損なうリスクがある。

結論

今回の検証において獲得したアポイントの約3分の2(67%)がリマインドDMを起点としており、リマインド施策がLinkedInアウトバウンド営業におけるアポイント獲得率の向上に寄与した可能性が示唆された。

初回DMに反応がなかった場合でも、訴求軸の変更や返信のハードルを下げるといった工夫を施したリマインドDMを送付することで、初回では接点を持てなかったCxOレイヤーからの返信を獲得できるケースがあることが確認された。リマインドDMは「しつこい追客」ではなく、「機会損失を防ぐための合理的な施策」として位置付けることが、LinkedInアウトバウンド営業の成果向上に繋がると考えられる。

なお、リマインドDMによる「機会損失の回収」や「複数回の接点を通じた本気度の伝達」といった効果は、ターゲット企業の規模や業種を問わず応用可能な示唆を含んでいると考えられる。

シン・セールス総合研究所では、今後もデータ数を蓄積し、より精度の高い検証・発信を続けていく。

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