LinkedInアウトバウンド営業におけるIT系スタートアップCxOレイヤーへのアプローチの有効性 —— ターゲット選定への示唆

LinkedInアウトバウンド営業におけるIT系スタートアップCxOレイヤーへのアプローチの有効性 —— ターゲット選定への示唆

LinkedInアウトバウンド営業におけるIT系スタートアップCxOレイヤーへのアプローチの有効性 —— ターゲット選定への示唆
目次

エグゼクティブサマリー

  • 今回の検証において、IT系スタートアップ企業に対するLinkedInでのDMは、その他の企業群と比較して高いアポイント獲得率を示した
  • IT系スタートアップ企業群のアポイント獲得率は6.6%となり、LinkedInはIT系スタートアップのCxOレイヤーへのアプローチ手段として有効である可能性が示唆された
  • 獲得したアポイントはいずれもCxOレイヤーもしくはそれに準ずる経営幹部であり、LinkedInが意思決定者への直接的な接点創出に寄与し得るチャネルであることがうかがえる

調査背景

BtoBアウトバウンド営業において、LinkedInはビジネスパーソンに直接メッセージを送付できるチャネルとして注目されている。特に、CxOレター(手紙営業)やテレアポではリーチしにくい決裁者層に対して、LinkedInのDM機能を活用することで接点を創出できる可能性がある。

しかし、実際にLinkedInでアポイントを獲得する際、「どのような企業に対して効果が高いのか」という問いに対して、定量的なデータはほとんど公開されていない。

  • IT系スタートアップのCxOのほうがLinkedInを積極的に活用しているのではないか?
  • 企業の規模や特性によって、LinkedIn経由の営業DMへの反応に差があるのではないか?

こうした疑問に対し、シン・セールス総合研究所では、実際のLinkedInでのDM施策のデータをもとに、IT系スタートアップ企業のアポイント獲得率を分析した。本レポートでは、IT系スタートアップ企業へのアプローチにおいてどのような傾向が見られたかを報告する。

調査概要

1. 検証条件

  • 対象チャネル:LinkedIn
  • 対象業界:IT領域。具体的には、LLM開発企業、AIソリューション企業、AD/ADAS関連企業、AI創薬企業、MI関連企業など
  • 商材:GPUクラウドサービス
  • DM送付総数:239件
  • DM内容:各企業の事業内容や課題に合わせてパーソナライズしたメッセージを送付

なお、本検証は実務環境下で実施されたものであり、タイミングやDM文面以外の要因が完全に排除されているわけではない点には留意が必要である。

2. 検証群の定義

送付先企業を以下の2つの群に分類した。

  • IT系スタートアップ企業群:LLM系AIスタートアップ、その他AIスタートアップなど。合計137件のDMを送付。
  • その他企業群:上記以外の企業。合計102件のDMを送付。

検証結果

データを集計・比較した結果、IT系スタートアップ企業群のほうが高いアポイント獲得率を示す傾向が見られた。

1.【IT系スタートアップ企業群】の数値

IT系スタートアップ企業群における実績値は以下の通りである。

1.【IT系スタートアップ企業群】の数値

※本レポートは特定期間のサンプルに基づく分析であり、傾向を示すものである。

IT系スタートアップ企業群のアポイント獲得率は6.6%であり、その他企業群の3.9%と比較して高い水準となった。サンプル数に限りはあるものの、LinkedInにおけるアウトバウンド営業施策では、IT系スタートアップ企業のほうが成果に繋がりやすい傾向がうかがえる。

2. 獲得アポイントの特徴

今回獲得したアポイントはいずれもCxOレイヤーもしくはそれに準ずる経営幹部からのものであった。代表取締役やCTO、CAIOなど、意思決定権を持つ役職者からの反応が中心であり、LinkedInは経営層への直接アプローチが可能なチャネルである可能性が示唆された。特にIT系スタートアップ企業のCxOレイヤーからの反応が多く見られた。

考察

なぜ、IT系スタートアップ企業で比較的高い反応が見られたのか。定性的な側面から、以下の要因が考えられる。

CxOレイヤーの「LinkedIn活用度」の違い

IT系スタートアップ企業のCxOは、採用、資金調達、パートナーシップ構築など、自らLinkedInを積極的に活用しているケースが多い。そのため、LinkedInのDM機能に対する親和性が高く、外部からのアプローチに対しても比較的オープンである可能性がある。

意思決定スピードとプロセスの違い

IT系スタートアップ企業では、CxO自身が技術選定やベンダー選定の意思決定を行うケースが一般的であり、「面白そうだから話を聞いてみよう」という判断が比較的速やかに行われやすい傾向がある。

「課題の緊急度」と商材特性の親和性

今回の提案商材であるGPUクラウドサービスは、LLMの開発やAIモデルのトレーニングにおいて計算リソースを必要とする企業にとって直接的な課題解決策となる。特にIT系スタートアップ企業は、限られたリソースの中でGPUの調達に課題を抱えているケースが多く、提案内容と課題の合致度が高かった可能性がある。

なお、今回の結果は特定の商材における検証であり、商材やターゲット業界が異なれば結果も変わり得る点には留意が必要である。

営業実務への活用

今回の分析結果から導き出される、LinkedInアウトバウンド営業施策のアクションプランは以下の通りである。

1. IT系スタートアップのCxOレイヤーをターゲットとして優先的に検討する

1. IT系スタートアップのCxOレイヤーをターゲットとして優先的に検討する

LinkedInでのアプローチ先を検討する際、IT系スタートアップ企業のCxOレイヤーは有力な候補の一つとなり得る。今回のデータにおいて、IT系スタートアップ企業群のアポイント獲得率は6.6%と比較的高い水準であり、商材との親和性が高い場合には優先的にアプローチを検討する価値があると考えられる。ただし、最適なターゲットは商材や提案内容によって異なるため、自社の状況に合わせた判断が求められる。

2. ターゲットに応じたチャネルの組み合わせを検討する

企業の特性やターゲット層に応じて、LinkedIn単体でのアプローチに加え、CxOレター(手紙営業)との併用も有効な選択肢となり得る。物理的な手紙による「開封率の高さ」とLinkedInの「即時性」を組み合わせることで、意思決定者への到達率を高める戦略が考えられる。たとえば、CxOレター(手紙営業)で第一接点を作り、その後LinkedInでつながりリクエストを送付する、あるいはその逆のアプローチも検討に値する。

3. LinkedInプロフィールの最適化を前提とする

LinkedInでのDMが開封された際、送付者のプロフィールが閲覧される可能性は高い。そのため、プロフィールに自社の提供価値や実績を端的に記載し、「この人の話を聞いてみたい」と思わせる情報設計を行うことが、アポイント獲得率の向上に寄与する可能性がある。

結論

今回の検証において、LinkedInアウトバウンド営業施策のアポイント獲得率はIT系スタートアップ企業群で6.6%となり、その他企業群と比較して高い傾向が見られた。また、獲得したアポイントはいずれもCxOレイヤーもしくは経営幹部であり、LinkedInが意思決定者へ直接リーチし得るチャネルであることがうかがえた。

LinkedInを活用したBDRにおいては、商材やターゲットとの親和性を踏まえたうえで、IT系スタートアップのCxOレイヤーを有力なアプローチ先として検討することが、成果の向上に繋がる可能性がある。また、ターゲットに応じてCxOレター(手紙営業)など他チャネルとの組み合わせを検討することも有効と考えられる。

シン・セールス総合研究所では、今後もデータ数を蓄積し、より精度の高い検証・発信を続けていく。

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