※本記事は動画の内容を、読みやすいよう記事用に編集・要約したものです。
目次
アポの数は毎月ちゃんと取れているのに、受注が増えない。BtoB営業の現場で、最も多くいただくご相談です。
このページでは、提案に進めない打ち合わせがどこで生まれるのか、その原因と直し方を解説します。結論から言うと、受注率は提案資料やクロージングのうまさではなく、どの会社に会いに行っているか(リスト)と、その打ち合わせをどう打診したか(アポの取り方)でほとんど決まります。
株式会社Emooove(イムーヴ)は、国内最大級の企業・人物データベースと、7つの施策でBtoB企業の商談獲得を代行しています。これまで150社以上をご支援してきました。
1. アポと商談を、分けて数える
まず、言葉の定義をそろえます。弊社では次のように分けています。
| 用語 | 定義 |
|---|---|
| アポ | 最初の打ち合わせ |
| 商談 | 相手に課題やニーズがあって、提案ができるアポ |
この2つをまとめて1つの数字で見ていると、受注率が低く出ます。
月に20件アポがあって受注が2件なら、受注率は10%です。ただ、そのうち10件が、雑談で終わって提案する場面すら無かった打ち合わせだったとしたら、提案できたのは10件で、そこから2件。20%になります。
同じ営業をしていても、提案できなかった打ち合わせが混ざっているだけで、数字は半分に見えます。
前提:アウトバウンドは「今すぐ客」ばかりではない
弊社がやっているのは、こちらから声をかけていくアウトバウンドの営業です。お会いする方が今すぐ何かを検討している、とは限りません。特に大手企業だと、決まるまでに何ヶ月もかかりますし、まず課題を整理して社内でプロジェクトにするところから始まることも多いです。
ただ、だから軽いアポでいい、という話にはなりません。相手がまだ困っていると気づいていない状態だからこそ、誰に会うかと、どう打診するかで結果が変わります。
2. 提案できない打ち合わせが生まれる、代表的な2つの原因
原因はいくつもありますが、代表的なのは次の2つです。
- リスト — 誰に会いに行っているか
- アポの取り方 — どうやってその打ち合わせを取ったか
当日どれだけうまく話しても、この2つがずれていると提案までは進みません。
3. 原因①:リストが荒いと、必要としていない会社が混ざる
よく見るのが、業種業界と企業規模だけで抽出したリストです。「製造業で従業員100名以上」「IT業界で東京都内」といった条件です。
この条件だと、そのサービスをまったく必要としていない会社が普通に混ざります。逆に、本当に困っている会社が条件から漏れます。業種と規模の中に、その会社が今お金を出す理由が入っていないからです。製造業で100名以上という会社は何万社もあって、そのうち今この課題で動いている会社は、ごく一部です。
対策:その会社が実際に取った行動で絞る
弊社では、その会社が実際に取った行動(行動シグナル)を条件にしてリストを作っています。
| 行動シグナル | なぜ効くか |
|---|---|
| 広告を出している | 予算が動いている。決裁がマーケ責任者に寄る |
| 資金調達の直後 | 使いみちが決まる前に接触できる |
| 求人を掲載している | どの部署を強化しているかが、そのまま出ている |
| 新拠点・新工場の発表 | 設備・人・システムがまとめて動く |
実際に弊社のデータベースで抽出すると、情報システム部門の求人を出している会社は2,975社、新しい工場や拠点の開設を発表した会社は935社、ネットショップをShopifyで運営している会社は20,087社です。業種と規模で切ったリストとは、入ってくる会社が入れ替わります。
選んだ理由が、1社ずつ残る
行動で絞ると、なぜこの会社なのかという根拠が1社ずつ残ります。求人票のこの一文、このプレスリリース、というところまで残るので、そのまま最初のご連絡の書き出しに使えます。
「情報システム部門の求人を拝見しまして、ご連絡いたしました。◯◯の体制強化を進められているタイミングかと存じます。」
弊社は営業代行の会社としては珍しく、社内にCTOと開発部隊がいます。既存のデータベースに項目として無い条件でも、独自のロジックを組んで抽出しています。
自社でリストを作る場合も考え方は同じです。リストを買う前に、その抽出条件が、相手がお金を出す理由になっているかを見てください。業種と規模しか入っていなければ、まだ絞れていません。
リスト設計から文面までの具体的な打ち手は、『BtoBインサイドセールス“打ち手”大全』にまとめています(無料ダウンロード)。
4. 原因②:取り方しだいで、当日ゼロから説明することになる
もうひとつが、アポの取り方です。よくあるのが、件数を目標にしてしまうことと、何の打ち合わせか伝えないまま日程だけ取ってしまうことです。
パターン1:件数が目標になる
アポの件数が目標になると、取りやすいところから取ることになります。特に成果報酬型の営業支援でよく見られます。ターゲットから外れていても、「情報交換でいいですか」と言って15分もらえれば1件です。数字の上ではアポは増えますが、そこから提案には入れません。
パターン2:目的を伝えずに、日程だけ取ってしまう
サービスの説明も、何をお渡しできるかも伝えないまま、「一度ご挨拶だけでも」で日程を押さえてしまうケースです。すると当日、「これって何の時間でしたっけ」「御社は何の会社ですか」というところから始まります。残りの30分でサービス説明をして、終わりです。
対策:打診でサービスを説明し、日程確定後に目的を送る
- 打診の段階で、サービスの内容とお渡しできる価値を伝えたうえで日程を打診する。 ここを飛ばして取れた日程は、当日ゼロから説明することになります。
- 日程が決まった後に、打ち合わせの目的とアジェンダを送る。 あわせて、答えられる範囲で今の状況を教えていただきます。相手も何を聞かれるか分かった状態で来ますし、こちらも聞くことを絞って準備できます。
5. なぜ「件数を追う」力学が生まれるのか
商談でも本当によくご質問をいただくのが、成果報酬型についてです。弊社は成果報酬をやっていません。理由が2つあります。
理由1:PDCAに人を割けない。営業は最初からうまくいくことはほとんどなくて、PDCAが重要になります。ところが成果報酬だと、そこに人を割けません。割いたぶん、支援する側の利益が減るからです。それではお客様の事業成長にコミットできないので、伴走する形でご支援しています。
理由2:営業が動かせる変数は限られている。営業の成果に関わるものは、会社概要、サービスの内容、プライシング、LPと、いろいろあります。そのなかで営業側が動かせるのは、リスト・チャネル・文面くらいです。この3つしか触れないのに、受注という結果そのものに責任を持つことはできない、と考えています。
成果報酬型を検討するときに見ておきたい4つ
成果報酬型が悪いという話ではありません。使う場合に、次の4つは見ておいてください。
- 件数だけを追う力学が働く。 ターゲット外でも取りやすいところから取る、情報交換や短時間のアポを取る。受注や売上拡大という本来の目的から、ずれた動きになりやすいです。無理な取り方は、自社の印象も損ないます。
- 割りのいい案件にリソースが寄る。 単価が高くてアポが取りやすい案件に人を寄せたほうが合理的です。良くも悪くも成果報酬なので、難しい案件にはリソースを割かず、フェードアウトしがちです。
- プロセスがブラックボックスになる。 何件アプローチして、どこで何件落ちたかが見えないので、その場しのぎの活動になり、発注側に資産も学びも残りません。
- PDCAが回らない。 新しいチャネルの取り組み、BDRの立ち上げ、新規事業。検証やプロセスが重要な局面ほど、相性が悪くなります。
補足:弊社も、かつては成果報酬型でした
弊社も成果報酬で事業をやっていた時期がありますし、その界隈に知り合いも多いので、そのうえでお話ししています。成果報酬は売上が読みにくく、原価と報酬が比例せず、コストが先に出ます。経営が安定しにくく、拡大も難しいモデルです。
本当は固定でやりたいけれど、それだと仕事が取れないので成果報酬にしている、という会社もあります。自社の営業活動が安定していない会社に、自社の営業をお願いすることになりかねない。この点だけ、頭に置いておいてください。
決裁者へのアポ獲得の全体像は、『決裁者アポ獲得チャネル7選とその特徴』でも解説しています。
6. 明日から手をつけられる3つ
- 数え方を変える。 先月のアポを1件ずつ、提案まで入れたかどうかで分ける。提案できた件数だけで受注率を出し直すと、いまの数字が出ます。
- リストを見直す。 いま使っている抽出条件に、その会社が取った行動を1つ足す。求人でも、資金調達でも、拠点の開設でも構いません。
- アジェンダを送る。 次に日程が決まった打ち合わせから、目的とアジェンダを一通送る。いちばん早く効きます。
まとめ
受注が増えない原因は、商談の当日より前にあることが多いです。代表的なのは、使っているリストと、アポの取り方。リストは業種と規模ではなく、その会社が取った行動で選ぶ。アポは、打診の時点でサービスと価値を伝えて、日程が決まったら目的を送る。そのうえで、アポと商談を分けて数える。
株式会社Emoooveでは、リストの設計から文面、アポの取り方まで含めて商談獲得を代行しています。行動量やKPIはお客様の状況に合わせて調整してご提案しますので、まずはお気軽にご相談ください。




